患者満足度調査は、病院に対する患者さんの満足度を知る重要な取組みです。まず「患者満足度」に関心を持ち病院としてそれを調査しているということが大切です。病院としては「満足している」という回答の割合が大きければ大きいほどよいということになります。よく話題になるのが駐車場や待ち時間の長さだったりします。病院としては、患者さんの満足度を把握しながらこれらの問題を解決していくことになります。

入院と外来の満足度を比較すると圧倒的に入院の満足度が高くなります。入院治療にあたり医師や看護師と密接に関わり、退院時には治癒あるいは軽快して帰られることが多く、総合的に満足していただけることもあり、個々の満足度も高めになります。一方、具合が悪いのに診察待ち時間が長い、駐車場に入れない、予約なのに時間通りに診察してもらえない、など個々の項目の不満が外来における総合的な満足度も低めることになります。

患者満足度は、「満足・やや満足・ふつう・やや不満・不満」の5段階で評価され、そのうちの「満足・やや満足」を合わせてどれくらいであるかを評価の指標とするのが一般的で、厚労省の調査や医療の質評価事業でも「総合評価で満足・やや満足」と回答した割合を指標としています。

満足度が特に低い項目である「外来の待ち時間」、「入院の食事」は、「病院全体の総合的な満足度」とは相関が低くなっています。よって、待ち時間対策や食事を改善しても病院全体の総合的な満足度が高まらないかもしれません。しかし、満足度が低い項目をそのまま放置するのでなく、病院として改善に取り組む姿勢が求められます。

一方、病院の質の根幹は提供する医療の質にあります。入院の総合的な満足度は「治療結果に対する満足度」や「医師の説明」、「治療内容」と相関があり、外来の総合的な満足度は「看護師や他のスタッフの対応」と相関があります。患者さんの求めている質にきちんと対応していく必要があります。

全日本民医連のデータと比較すると、退院患者の満足度(すなわち入院医療に対する満足度)は2013年も中央値をやや下回っています。これは2011年から同様の傾向です。外来患者の満足度は3年連続して中央値を大きく下回っています。

当院では2011年から満足度調査結果を重視し、各部門での検討と改善、管理部会議からの改善課題の提起を行ってきました。2012年の結果を受けて入院の食事、診察待ち時間、プライバシーを重点項目として患者満足度の改善に取り組むことを提起し、一部で改善の取り組みを行いましたが、2013年度の調査で結果が改善するには至りませんでした。先に述べたように、総合的な満足度に相関するものではないため、2013年度の総合的な満足度は2012年度に比して上昇していますが、この結果をそのまま評価が上がったと単純に捉えるべきではありません。

「ふつう」でなく、「満足・やや満足」と回答していただけるように病院全体で改善に取り組む、という姿勢を堅持して個々の項目の改善に取り組んでいきたいと考えています。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 1年間で、各病院で期間を決めて実施し、12月に報告する
分子 A)退院患者で「5.満足している(例)」「4.やや満足している(例)」と回答した合計
B)外来患者で「5.満足している(例)」「4.やや満足している(例)」と回答した合計
各病院で、アンケート用紙に「総合的な評価に関わる項目(5段階)」を位置づける。
分母 A)退院患者の有効回答数
B)外来患者の有効回答数
-
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設参加)
A.入院患者
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 99.2% 86.3% 59.4%
2012年 100.0% 86.9% 60.9%
2013年 100.0% 85.5% 34.3%
B.外来患者
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 95.5% 84.9% 56.3%
2012年 98.9% 83.1% 35.3%
2013年 97.4% 82.8% 54.6%