転倒・転落はどこの病院でも問題になっている安全対策上の大きな課題です。決め手となるような効果的な予防策がないことも知られています。日本中の病院がそれぞれに工夫しながら取り組んでいますが、様々な要因のからむ複雑な領域です。予防策の効果を追跡する指標がここに示している発生率です。

当院では2013年から看護部にプロジェクトチームを作り、入院患者のアセスメントシートの改定、転倒対策がどの病棟でも同じようにできるためのマニュアル改定などを行ってきました。

全体の転倒・転落件数は2011年に比べ12年は増加し、それに対して13年は約50件減少しています。 しかし治療を必要とする転倒も2012年の11件に比べ13年は32件と増えています。全日本民医連の調査の中央値よりも多く、年々増加傾向にあります。

全体の件数減少は、昨年来の取り組みの効果を反映しているかもしれませんが、肝心な治療を必要とする転倒・転落には効果が無いように見えます。この間の調査で、高齢の急性疾患患者が多く入院する病棟で転倒が比較的多いことが分かっています。転倒・転落の予防はそれぞれの患者さんの特徴を十分に把握した上で行わなければなりません。今後は、個々の転倒の要因分析を蓄積できるような取り組みも必要になると思われます。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 ‰ (パーミル、千分率)表示
分子 A)入院患者の転倒・転落件数
B)治療を必要とする転倒・転落件数
B)はレベルの定義なし。「治療が必要な場合」の全てを算出する。画像検査を実施して異状がない場合は除く(画像など検査だけの場合は除く)。
分母 入院患者延数(24時在院患者+退院患者数の合計) -
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設参加)
A.入院患者の転倒・転落発生率
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 9.7‰ 4.3‰ 0.5‰
2012年 21.4‰ 4.5‰ 0.8‰
2013年 9.16‰ 4.3‰ 1.2‰
B.治療を必要とする転倒・転落発生率
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 0.8‰ 0.2‰ 0.0‰
2012年 1.3‰ 0.3‰ 0.0‰
2013年 1.2‰ 0.2‰ 0.0‰