剖検率とは、病院で亡くなった患者さんの中で、病理解剖を行った患者さんの割合を示す値です。国の定めた医師養成の制度では、最初の2年間の研修期間に病理解剖を経験しその結果を検討会で発表することが決められています。病理解剖が医師としての研鑽の一環としていかに重視されているかが分かります。

病理解剖では、死因は何だったのか、生前の診断は正しかったのか、どのくらい病気が進行していたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、といったことを判断し、病気の成り立ちを解明する目的で行われます。病理解剖によって明らかにされる事実は主治医にとって極めて貴重です。医療技術あるいは医学の質を保つために病理専門医の存在は不可欠です。

病理解剖を行うためには、ご家族のご理解とご協力をいただかなければなりません。真摯に治療を行い、真摯にご家族にご理解をいただく医療者側の姿勢もまた大切です。この剖検率は、当院がどれだけ患者さんの病気に真摯に向き合っているかを反映する指標のひとつともいえます。

2013年は13件の解剖が行われています。全日本民医連の中央値(2件)に比べると高く、10件以上実施した病院は当院を含めて74病院中13病院のみとなっています。病院ごとに件数にばらつきがあり、それぞれの病院の医療活動や病理専門医の有無などによって剖検率は大きく影響を受けることがわかります。

件数の多少も重要ですが、貴重な一例一例をどれだけ深く検討できたかも重要です。臨床医にとって病理専門医との意見交換は貴重です。医師としてこのような機会をどれだけ持てたかも重要と言えます。

参考: 全日本民医連「医療の質向上・公開推進事業」 Ⅰ-7 剖検率(PDF)

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
分子 病理解剖実施数(件) 他病院に依頼して病理解剖した数も含める
分母 死亡退院数(入院)+入院料を算定した外来死亡数(人) * 坂病院では外来死亡患者に入院料算定していない
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 20.6% 1.3% 0.0%
2012年 10.0% 1.4% 0.0%
2013年 25.0% 1.1% 0.0%