救急医療の基本は、まず患者さんを断らないということです。救急車の依頼にすべて応えるのが理想です。しかし、現実には受け入れをお断りしなければならない場合が発生しています。立て続けに救急車を受け入れた直後にさらに要請されても人も場所も余裕がないということもあります。明らかに入院が必要な状態だが病院が満床で先に別の病院を当たってもらう、なども日常的に起きています。

地域の救急医療の中心的な立場の病院ほど、上記のような矛盾に直面する確率が高くなります。病院全体で受け入れを支援する体制を追求するだけではなく、地域内の病院間の連携も不可欠であると言われています。受け入れ割合は100%が理想ですが、100%でないので取り組みが弱いと一概に言いきることもできません。その病院だけの問題に終わらせず、地域の中で救急医療にどのように取り組むかといった問題提起をしていくことも大切と思われます

当院の受け入れ割合は全日本民医連のデータの中央値よりもさらに低い値となっています。当院ではベッド満床や救急室の許容量やマンパワー不足などが影響することが多いようです。現在、病院をあげて救急医療の拡大を議論している最中です。救急室の拡大だけではなく、救急医療を支える医師体制など仕組みをどのように工夫するか、周囲の医療機関とどのような連携をつくっていくかなど様々な課題があります。救急医療のメンバーのリードで病院全体の議論がさらに盛り上がることを期待しています。

2013年の受け入れ割合は前年に比べ7%増加していますが、それでもまだ、受け入れ割合は高くありません。2015年に開設される救急病棟の稼動に向け、医師体制の整備や救急看護チームの発足により、受け入れ割合を高くする具体的な対策が検討されています。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
分子 救急車受け入れ数 -
分母 救急要請数 -
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 99.1% 81.5% 45.7%
2012年 98.5% 80.0% 27.3%
2013年 100.0% 81.0% 51.9%