心臓は全身に血液を運ぶ働きをしつつ心臓自身にも血液を供給します。その血管を冠動脈と言います。心臓の出口の大血管からすぐに冠動脈がでて心臓自身に血液を送りこむようになっています。この冠動脈は動脈硬化の影響を受けやすく、急に閉塞すると心筋梗塞になります。心臓の動きが極端に悪くなり生命の危険にさらされます。

冠動脈の血液の流れをよくするために使われる薬の一つが、アスピリンです。血液の成分のひとつである血小板は血液を固まらせる働きがあります。アスピリンはその血小板の働きを抑制します。血液を「さらさら」にする薬とも表現されます。現在では新しく開発されたクロピドグレルという薬を使うこともあります。

このアスピリンを心筋梗塞で運ばれてすぐに患者さんに用いると、その後の経過が良好であることが知られています。したがって、心筋梗塞の治療の手順にこの薬の投与を組み込む事が求められます。ここに算出する値はより100%に近い値になることが望ましいということになります。

全日本民医連のデータでは昨年同様、最小値が0%、最大値が100%とかなりばらついていることが分かります。300床以上、DPC病院、基幹型臨床研修病院の14病院にしぼって検討すると、80%以下の病院が3つあります。それ以外はおおむね90%以上です。

2012年のアスピリンを投与していなかった4人について調べてみると、クロピドグレルが投与されているなどして実質的にはほぼ100%と解釈できました。2013年も3人にアスピリンは投与されていませんでした。循環器科の医師によるといずれも特殊な事例であり、アスピリン内服の手順は確立していると考えられます。当院では今後も数例の例外を除きほぼ全例にアスピリンを内服させることは続くと思われます。今後は、明らかに内服させないような事例があればそれを除外しての計算がよいという判断も出てくるかもしれません。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
分子 病院到着時間から24時間以内にアスピリンが投与された患者数 入院時間は、来院時間(救急車到着時間)とする。アスピリン投与時間は、アスピリンを処方した時間とする。
【分母・分子除外規定】
  • 24時間以内の死亡退院
  • アスピリン処方ができない理由を診療録に記載されている患者
分母 当該月に主病名が急性心筋梗塞で退院された患者数 急性心筋梗塞の患者で再梗塞も含む。待機的な治療目的の患者は除く。入院中の発症は除く。
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2012年70施設参加、 2013年83施設参加)
年度 最大値 中央値 最小値
2012年 100.0% 80.0% 0.0%
2013年 100.0% 90.1% 0.0%