糖尿病の治療目的は「合併症の発症、および進展の予防。ひいては正常な人と変わらないQOLを維持すること」です。そのために食事療法・運動療法を基盤として、必要ならば薬物療法を併用することでHbA1c(1-2ヶ月の血糖値の平均値)の改善、正常化が求められています。

HbA1cは貧血や輸血、肝機能障害等で影響を受けます。直近の血糖コントロールの指標ではないため急速に悪化・改善している例は把握が困難です。

2014年度の結果の解釈

2014年度より日本病院会のQI指標に変更しました。母集団が異なり、前回比での評価が困難であるため、本年度の判断は保留としました。
しかし、クリニック糖尿病外来通院中の患者(登録数2,740名前後、薬物療法の有無によらない)のデータをみると、昨年比で1年間通して平均HbA1cの上昇が認められます(HbA1c 7.54%からHbA1c 7.67%へ)。
原因は患者の高齢化や背景疾患の複雑化(認知症など)に伴い、目標HbA1cが8%未満でも許容せざるを得ない症例が増加している可能性が考えられます。
また、多種併存症を有している症例、重症化した症例が集まりやすいのも当院の特徴であり、全国平均と比べコントロール指標が芳しくない可能性もありえます。

具体的な改善策は次のようなことが考えられます。

  • 健診、内科外来診療において耐糖能障害、糖尿病初期の患者を適切に拾い上げる
  • 外来の待合室に「数ヶ月ごとの平均HbA1cの推移」を提示、啓蒙する
  • 自宅で行えるような身近な食事運動療法について、糖尿病教室やこんぺいとうの会(患者会)を通して啓蒙する
指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 収集期間:1~6月、7~12月 :半年に一回測定
分子 A) 最終検査値のHbA1Cが < 7.0%
B) 最終検査値のHbA1Cが < 6.5%
の患者数
近接診療所患者を含む
NGSP値で集計
分母 半年間で2回以上HbA1C検査した外来患者数 実患者数。近接診療所患者を含む。
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2014年58施設参加)
HbA1Cが < 7.0%
年度 最大値 中央値 最小値
2014年 88.0% 66.4% 43.5%
HbA1Cが < 6.5%
年度 最大値 中央値 最小値
2014年 77.7% 43.7% 20.8%