救急救命医療の質の評価。病院単体の質のみならず、地域住民・救急隊の理解など地域全体の救急救命医療への理解・関心を示すものと考えられます。

2014年度の結果の解釈

心肺停止から病院到着までの時間、距離、救急体制、また医療圏の住民構成や地域特殊性など、種々の条件が絡み合う指標であり、他施設との比較は困難です。同一施設での検討に重要な意味があるものと思われます。

また、蘇生への反応および生存退院者数が少数なため、率としては大幅な変化をしていても統計的有意差は生じないことが多いです。

心拍再開率および生存退院率のみを見ると、大きな数値的な変動を認めるものの統計学的有意差は認められません。 救急隊到着から病院到着までは蘇生の標準化が定着してきており、今後の展開を再検討する時期に来ているかもしれません。

院内の教育による蘇生処置の標準化や、救急隊とのカンファレンスなどによる救命従事者への教育は充足してきたものと思っています。しかし、さらに心拍再開率・生存退院割合を向上させていくためには、地域住民の救命医療に対する意識を高めるような活動をすべきです。ただし、その活動は、一病院のなすべきことなのか疑問は残ります。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と
分母・分子の項目名
解釈
備考 半年分で集計
分子 A)心拍再開し入院した患者数
B)そのうち生存退院した患者数
-
分母 救急搬入された来院時心肺停止患者数 退院患者のうち、入院契機病名が蘇生に成功した心肺停止(I46.0)
医療の質向上・公開推進事業」データより
(全日本民医連 2011年60施設、 2012年70施設、 2013年83施設、2014年68施設参加)
A.心拍再開割合
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 100.0% 26.5% 0.0%
2012年 100.0% 14.3% 0.8%
2013年 100.0% 18.2% 0.0%
2013年 100.0% 20.0% 0.0%
B.心拍再開し生存退院した患者の割合
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 100.0% 0.0% 0.0%
2012年 50.0% 0.0% 0.0%
2013年 38.5% 0.0% 0.0%
2014年 15.4% 0.0% 0.0%