カルテ開示とは、患者さん自身やご家族にカルテをお見せすることです。患者さん自身の知る権利や自己決定といった原則に照らすと当然のことです一方医療は極めて個人的な情報を多く取り扱います。時には非常に慎重に取り扱わなければならない情報も含まれています。個人情報の保護という観点からは、病院からそのような情報が安易に漏れ出ることは患者さん自身にとって不本意な事態を招きかねません。そのためカルテ開示のための手続きは、どこの病院でも厳格に定めています。このカルテ開示数は情報開示、個人情報保護そして自己決定という原則に対する病院の姿勢を反映している指標です。

カルテ開示については二つの視点から注意が必要です。あまりに自己防衛的な病院では開示のための手続きが厳格に過ぎるため件数が少なくなる可能性があります。患者さんとの信頼関係が悪い病院ほど開示の請求が増える可能性があります。少なすぎることは問題ですし、多くてもその背景について考察する必要があります。

全日本民医連の71病院のデータを詳しく見ると、突出して非常に多い少数の病院とそうではない大多数の病院とに別れています。中央値は6件で全体の75%が19件以下の開示数ですが、最も多い病院では389件もの開示を行っています。病院によって大きなばらつきがあることの理由を知る必要があります。それを背景に当院のデータも解釈されなければいけません。

2012年当院は18件のカルテ開示を行っています。前述したようにこれが多いのか少ないのかは一概に論じきれません。病院の姿勢を反映する重要な指標ですので、当院の内部の状況もよく踏まえて年度ごとの変化を吟味していく必要があります。

指標の計算式、解釈
  各指標の計算式と項目名 指標の解釈
備考 収集期間:1ヶ月
分子 患者・家族から申請・同意があって閲覧・複写など対応したもの、電子カルテの閲覧登録患者数(新規)を含む。「配布型」は除外する。 各病院のカルテ開示の規程に準ずる
入院患者は、延べ患者数ではなく患者件数で算出。