褥瘡じょくそうとは血流がとだえる程度の強さの圧迫が体に数時間加わるとできる皮膚や皮下組織の壊死のことです。とくに重症の患者さんの治療中にできてしまうことがあります。日本褥瘡学会という学会があるように医療や看護の中でも大切な領域と考えられています。栄養状態や自分で体を動かす能力などの患者さんの問題に加え、体位交換やエアマットなど適切な予防策をとっていたかなど様々な要因を背景に褥瘡ができます。ケアの質を総合的に反映する重要な指標と言えます。当院ではこの褥瘡新規発生率をゼロにすることが究極的な目標となります。

当院の褥瘡新規発生率は全日本民医連のデータの中央値よりやや少ない値です。褥瘡の年間総発生数を示すと2011年は86件、2012年は115件となります。年間で29件増加(34%増加)しています。2年間のみの比較では、傾向について断定することはできませんが、褥瘡予防が順調に進んでいるとは残念ながら言えません。

褥瘡治療の原則はその予防です。どのような患者さんが多く入院していたかなど、さらに詳細に状況を把握する必要はありますが、総数が減ることが最も端的に取組みの成果を実感できます。

当院ではWOC看護認定看護師(皮膚・排泄ケア領域の認定看護師)や医師を中心に精力的に褥瘡治療に取り組んでいます。一般の医療現場でさらに褥瘡を予防できるような取組みが進むことが期待されます。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と分母・分子の項目名 分母・分子の解釈
分子 入院後に新規に発生した褥瘡の数(別部位は1として計測) ひとりの患者でも複数発生した場合はその個数を算出する。
分母 調査月の新入院患者数+前月最終日在院患者数(24時現在) -
全日本民医連2011年60施設、2012年70施設参加「医療の質向上・公開推進事業」データより
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 7.3% 1.2% 0.2%
2012年 6.9% 1.1% 0.1%