一昔前までは、リハビリテーションとは一般の病院で行うものではなく、温泉地など人里離れた病院で気長に取り組むものだと思われていました。しかし現在では一般の急性期医療の不可欠の要素として考えられています。高齢な患者さんにとって肺炎など急性の疾患は内蔵の病気という枠を超えて体力をも奪う事態です。病気によって筋力や心肺機能を低下させないための取組みが医療の一環として位置づけれられるようになりました。厚生労働省も廃用症候群というこの状態にリハビリテーションを提供することを認めています。臓器治療以外にも生活機能にしっかりと目配りした医療を提供しているかどうかを検討するさいに、このリハビリテーション実施率を知ることが有用となります。

どのような医療活動を行っているかが、このリハビリテーション実施率にも影響します。たとえば小児科や産婦人科が充実している病院ではこの値は低めになりますし、脳卒中や整形外科の医療が充実していれば相対的に高くなります。

当院の場合、リハビリテーションの専門病床である回復期リハビリテーション病棟も含めて算出して、全日本民医連のデータの中央値よりさらに低い値となっています。300床以上、DPC病院、基幹型臨床研修指定病院の14病院で比べるとほぼその真ん中の位置を占めます。リハビリテーション専門医が4人、リハスタッフを80人以上も抱える病院としてこの値が妥当なのかどうか、今後検討していかなければなりません。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と分母・分子の項目名 分母・分子の解釈
備考 全病棟を対象とする(回復期リハ病棟含む)
分子 リハビリテーションを実施した退院患者(PT、OT、STいずれか) 当月退院患者のうちリハビリを実施した患者
分母 退院患者数 -
全日本民医連2011年60施設、2012年70施設参加「医療の質向上・公開推進事業」データより
年度 最大値 中央値 最小値
2011年 77.7% 28.5% 6.6%
2012年 93.1% 33.8% 13.1%