糖尿病は血糖が高くなる病気として広く知られています。ただ病気が軽いうちには特に症状がないので、患者さん自身が病気に真剣に向き合うことが難しいことでも知られています。糖尿病の進行には食事や運動など生活の様々な要素が影響します。糖尿病のことを理解してもらうための教育、食事療法、運動療法が治療の大前提です。最近、糖尿病に対する新しいタイプの薬が開発され、糖尿病の治療の考え方は大きく変わってきています。それでも単に薬を使えばよいというのではなく、生活全体を視野に入れた包括的な治療を行うことが標準です。

HbA1C(ヘモグロビンA1C)とは、過去1ヶ月程度の血糖の高さを反映する検査です。測定の仕方によって正常値は異なりますが、当院の採用している正常上限は5.8%です。低い値にとどまっている患者さんの数の割合を示しているのがこの指標です。糖尿病治療のチーム力を反映しています。

この値が高いというのは軽症の患者さんが多いということになりますが、重症の患者さんが集まる専門施設にとっては不利ということになります。他の施設との比較は慎重に行う必要があります。

当院は糖尿病の専門医が県内でも充実している方の病院です。糖尿病治療のチームの歴史も長く、地域の先生方との連携も熱心に行っています。最近は糖尿病に多く生じる足の問題に取り組むフットケア外来も始めています。しかし、HbA1Cが7.0%未満の割合も、6.5%未満の割合も全日本民医連のデータの中央値より低くなっています。

長く治療すれば徐々に血糖は下がります。新しく受診した患者さんが多ければ血糖コントロールの良好な患者さんの割合は少なくなるかもしれません。全日本民医連の中央値より当院の割合が低いのは患者さんの傾向の反映なのか、それとも治療体制の問題を抱えているのか、今後のこの値の推移を見ながら検討していく必要があります。

指標の計算式、分母・分子の解釈
  各指標の計算式と分母・分子の項目名 分母・分子の解釈
備考 収集期間:1~6月、7~12月 :半年に一回測定
分子 A) 最終検査値のHbA1Cが < 7.0%
B) 最終検査値のHbA1Cが < 6.5%
の患者数
近接診療所患者を含む
JDS値で集計
分母 半年間で2回以上HbA1C検査した外来患者数 実患者数。近接診療所患者を含む。
全日本民医連 2012年70施設参加「医療の質向上・公開推進事業」データより
年度 HbA1Cが < 7.0% HbA1Cが < 6.5%
最大値 中央値 最小値 最大値 中央値 最小値
2012年 91.4% 73.2% 43.1% 82.4% 55.8% 31.5%