おっぱいQ&A

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  • 赤ちゃんについての心配なこと、泣くことについて

    • 母乳を飲んだあと、また泣きます。どうしたらいいですか。

      赤ちゃんが泣くのにはさまざまな理由があり、お腹がすいた、もっと飲みたい、寂しい、うんち・おしっこがでた、などがあげられます。このように理由はたくさんありますが、生まれてから1~2ヶ月位は授乳後にもすぐに泣くことはあり、お腹がいっぱいになったからといってすぐに眠るわけではありません。 おっぱいをあげたり、抱っこしてあやしてあげると赤ちゃんは落ち着くことが多いです。
    • 赤ちゃんの体重はどれくらい増えれば安心でしょうか。

      育児書や教科書では、1ヵ月1kg、1日30gと言われていますが、これは平均値です。最低値は、15~20gと考えていいでしょう。体重増加が良好な赤ちゃんはうんち・おしっこの回数も5~6回以上はみられます。

      ただ、体重の増え方がゆっくりでも健康に育つ赤ちゃんもいます。母子健康手帳に記載されている身体発育曲線を参考に、心配なときは小児科医に相談しましょう。

    • おっぱいをあげたら、げっぷをさせたほうがいいですか。

      多くの場合、げっぷは必要ありません。

      赤ちゃんがおっぱいを飲むとき、口の中はお母さんの乳首を舌で巻いてぺしゃんこにして飲んでいます。このため、口の中に余分な空気は無く、空気を一緒に飲むことはあまりありません。

      2~3分さすってもげっぷが出ないときは、顔を横向きにして寝かせましょう。

    • おっぱいを飲ませても吐いてしまいます。

      おっぱいの後に赤ちゃんを縱抱きであやしてから寝かせてみましょう。

      赤ちゃんの胃の入り口の筋肉がまだ未熟なため、おっぱいをたくさん飲んだときや泣いたりしたときにおっぱいが口元からタラタラと流れること(これを溢乳といいます)があります。ピークは生後4ヶ月頃ですが自然におさまります。

      吐いた後、赤ちゃんの機嫌が良く、おっぱいもいつもと同じように飲み、うんち・おしっこの回数が十分にあり体重の増加が良好であれば、心配ありません。

      吐き方が徐々に激しくなったり、噴水状に吐く場合は受診をお勧めします。

  • 分泌の心配ごと・母乳以外の追加について

    • 抱っこしないと赤ちゃんが寝ません。おっぱいが足りないのでしょうか。

      体重が順調に増えていれば問題ありません。
      赤ちゃんはお腹がいっぱいになってもすぐに寝ない場合もあります。授乳後すぐにお布団に寝かせるのではなく、しばらく抱っこをして背中をやさしくトントンしたり、添い寝でおっぱいをあげてみましょう。
      添い寝でおっぱいをあげるときは赤ちゃんが鼻呼吸できるように隙間を作ったり、お母さんが先に眠りそうなときはおっぱいを外しておきましょう。ベッドで添い寝をするときは、赤ちゃんがベッドから落ちないように気をつけましょう。
    • 1時間たたないうちにまたおっぱいを欲しがるので、飲む回数が増えました。足りていないですか。

      このような時期は、たいてい急成長の時期(生後2~3週ごろ、6週ごろ、3ヵ月ごろ)と重なっています。
      赤ちゃんが何回も母乳を欲しがって、自分の成長に見合う母乳の量を、授乳回数を多くすることで自然に増やそうとします。これに伴い、母乳の量も増加し、授乳回数は数日で落ち着くことが多いです。
    • おっぱいがたりているか見分ける方法はありますか?

      最も簡単な方法はうんち・おしっこの回数で知ることができます。1日に5~6回おむつがしっかりぬれていれば大丈夫です。赤ちゃんの中には、生後6週間くらいたつと、あまり頻繁にうんちをしないけれど、1回に多量にする子もいます。うんちもよく出ていれば、十分に栄養が足りています。
    • 家に帰ったら急におっぱいが出なくなりました。

      環境の変化などにより、一時的にでなくなることがあります。
      ゆったりとした気分で赤ちゃんにいつもと同じように授乳していれば大丈夫です。
    • 夕方になるとおっぱいがいつもより出ていない気がして、不安です。

      夕方になると母乳があまりでなくなる話はよくあります。
      退院すると、お母さんも日常の生活に戻り、用事をこなすことが多くなります。
      そうするとおっぱいの出方も悪くなります。赤ちゃんのリズムで生活が出来ればおっぱいの出方は良くなります。
      それが難しいときは、夕方の用事をずらして、赤ちゃんと一緒にいるようにしましょう。
    • お風呂上がりに水分補給のために白湯やお茶、果汁を飲ませたら?と言われます。あげたほうがいいですか?

      健康な赤ちゃんなら、少なくとも生後6ヵ月の間は、母乳以外のものを与える必要はありません。生後6ヵ月以前はアレルギーの原因となる物質が腸の表面を通って体の中に入りやすいためアレルギーをおこしやすい時期です。このため、母乳以外のものを与え始めるには、まだ早すぎます。

      赤ちゃんに必要な栄養や水分は母乳から摂取でき、順調な成長と発達を支えます。また、母乳の生産には、需要と供給のバランスを自然に保つしくみが備わっています。白湯やお茶、果汁を飲ませることは、この自然のバランスを崩すことになります。お風呂上がりの水分補給には、母乳を飲ませてあげましょう。

    • 1歳半になっても母乳をあげていますが、むし歯になる可能性は高いですか。

      母乳中に含まれる乳糖はむし歯の直接の原因にはなりません。
      食物と母乳が混じったまま時間がたつと、むし歯 になることがあります。むし歯の予防で大切なことは、少なくとも1日1回は歯の汚れを落としておくことです。夜間は、唾液が少なくなるために、むし歯ができやすい時間帯です。添え乳の前には、あらかじめ歯をきれいにしておくのがよいでしょう。
  • 疲労・寝不足

    • 夜中に起きておっぱいを欲しがるのであまり眠れません。

      赤ちゃんはホルモンの関係で夜中に元気になります。夜中に欲しがるのは一般的に最初の1~2ヶ月ぐらいまでです。
      お母さんの体も赤ちゃんに合わせて、夜中に起きても大丈夫なようにできています。
      睡眠不足が心配なときは、日中に赤ちゃんと一緒にお昼寝をしましょう。夜間は添い寝をしたまま授乳すると、赤ちゃんのお世話がとても楽になります。添い寝をするときは、赤ちゃんが呼吸できるように鼻に隙間を作りましょう。ベッドでの添い寝のときは赤ちゃんを壁側に寝かせたり落ちないように気をつけましょう。
    • あまり眠れていないので、おっぱいがしっかり出るか不安です。

      赤ちゃんが直接おっぱいを吸うことで、おっぱいを作るホルモンが分泌されます。また、このホルモンは、お母さんの気持ちを穏やかにしたり、授乳後に身体をリラックスさせて、眠りに誘いこむ働きもあります。赤ちゃんの要求に合わせて何回もおっぱいを飲ませることで、出る量も増え、お母さんの身体も楽になってきます。大丈夫です。おっぱいは続けましょう。
  • おっぱいトラブル

    • 赤ちゃんが吸いつくと乳首が痛いのですが、どうしたらいいですか?

      「抱き方」と「吸いつかせ方」は、母乳育児をするときの大切なポイントです。適切な位置で赤ちゃんを抱いて、きちんと乳房を含ませることで、ほとんどの乳頭の痛みは防ぐことができます。
    • 乳首が切れて痛み、授乳がつらいです。

      赤ちゃんが飲んでいる内に多くの場合は治ります。冷たくしたガーゼ等で冷やすのも効果的です。また、浅い飲み方にならない様に、赤ちゃんの高さを調節したり赤ちゃんをしっかり引き寄せましょう。乳頭に傷ができて痛いときは、母乳中には傷を癒す物質が含まれていますから、授乳のあとに数滴しぼり出して、それを乳頭にやさしく塗っておくといいでしょう。

      おっぱいを消毒綿や石けんで強く擦ることは止めましょう。どうしても痛みが取れずに、なかなか治らない場合には病院を受診しましょう。

    • おっぱいが張らなくて心配です。

      張らないこと、イコール、でなくなってしまう、イコール、母乳不足ではありません。
      張らなくなったのは赤ちゃんが吸えばおっぱいがすぐに出るという良いリズムが出来たことなのです。
      母乳分泌の法則は、“飲めば飲むほどわいてくる”です。授乳回数が減ったり、飲み方が少なくなったりすると、母乳の量もそれに合わせて減ります。

      このように、母乳の生産には、需要と供給のバランスを自然に保つしくみが備わっています。母乳以外のものを与えることでこの自然のバランスを崩すことにつながりますので、赤ちゃんの欲しがるときに、欲しがるだけ母乳を飲ませてあげましょう。

    • 哺乳瓶になれておっぱいになかなか吸いつきません。

      乳首がかたいと赤ちゃんは吸うのを嫌がるため、飲ませる前にしぼって柔らかくしてからおっぱいをあげましょう。
      もし哺乳瓶を使っている場合は使う回数を減らしていきましょう。赤ちゃんが持続しておっぱいを吸うようになるまでカップやスプーンで搾乳をあげてみましょう。赤ちゃんが上手に吸えるようになるまで時間がかかることもありますが、必ずお母さんの乳首を吸うようになります。
  • 仕事復帰

    • いずれ職場復帰する予定です。いつから哺乳瓶に慣れさせたほうがいいですか?

      哺乳びんはゆっくり使い始めましょう。
      職場復帰をするからといって、哺乳びんに早くから慣れさせる必要はありません。預け先で、搾乳を哺乳びんに入れて飲ませてもらう予定がある場合も、あまりに早く哺乳びんを使い始めると乳頭混乱を起こす可能性があります。
      保育所などの都合で、哺乳びんに慣れさせておく必要があるときは、まずは産婦人科外来へ連絡をください。お母さんとその子に合った方法をアドバイス致します。
      連絡先:022-365‐5175(当院代表電話番号)
      対応可能な時間帯:平日 午後2時~午後4時半
  • 授乳中の薬について

    • 病気になり薬を飲んでいるときは母乳は中止したほうがいいのでしょうか。

      市販の薬(風邪薬、解熱剤、頭痛薬、胃腸薬、便秘薬など)では中止せずにすむ薬がほとんどです。

      たいていの薬の添付文書(箱の中に入っている説明書)には授乳中の人は飲まないこと、もしくは授乳を避けること、と書かれていますが、赤ちゃんに影響がでるほど母乳中に薬が移行することはまれです。ただし、一部の風邪薬や酔い止め、花粉症の薬等では赤ちゃんにも眠気がでる可能性があるのでいつもより母乳の飲みが悪い、うとうとしている、という症状がある時は薬を飲むのは中止しましょう。

      また、風邪薬等は症状がひどいときだけ飲むようにして、飲んでも治らない時は病院を受診するなど、同じ薬を長期間(4日間以上)飲み続けないようにしましょう。病院でもらった風邪薬も市販薬と同様な考え方で良いですが、妊娠前から飲んでいるような慢性的な病気の薬については出産前に医師や薬剤師から情報をもらっていたほうが安心でしょう。以下のサイトも参考になるのでご覧ください。

      妊娠と薬情報センター:授乳中の薬の影響(国立成育医療センターホームページ
      授乳中の薬の使用について | 国立成育医療研究センター (ncchd.go.jp)

      もし、上記でも分からない点あれば、当院の薬剤師へご相談ください。

      担当:小倉智恵美薬剤師(妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師)
      相談可能な時間帯は平日 9:00~17:00 です。業務の都合上、他の薬剤師が対応させていただくこともありますのでご了承ください。

参考文献

  1. 水野克己,本郷寛子ら:これでナットク 母乳育児.へるす出版,2011年