平成27年度 坂総合病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 749 139 215 321 351 464 1012 1457 1492 450
当院は塩竈市・多賀城市・松島町・七ヶ浜町・利府町の二市三町を主な診療圏としています。それぞれの市や町で傾向には差があるものの、二市三町全体で60歳以上の人口が32.7%と仙台医療圏平均の28.8%を上回り高齢化が進んでいます。(H27.3.31宮城県高齢者調査より)
これは当院の入院患者の年齢層にも反映し、60歳以上が全退院患者の66%を占めています。
また、産婦人科・小児科は診療圏において唯一の病院であり、病児の入院が可能なことから、10歳未満が11%と60歳代に次いで多くなっていると思われます。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)

内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010069xx99000x 脳卒中の続発症 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 19.7 10.9 0.0 80.6  
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし - 2.0 5.5 0.0 89.0  
050140xx99x00x 高血圧性疾患 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 2.0 9.2 0.0 72.0  
内科では、在宅医療の患者さまの短期入院や、夜間の緊急入院を対象とする救急病棟の患者さまが主に入院します。
入院するとそれぞれの専門診療科が担当しますが、在宅医療の短期入院の担当診療科は内科としています。
また、救急病棟の患者さまが翌日以降も入院となる場合には該当する専門診療科へ引き継ぎます。しかし、1泊で退院される患者さまも多く、その場合には、担当診療科は内科としています。そのため、在院日数は短くなっています。
呼吸器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x099x0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 383 14.3 14.3 1.8 71.8  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 66 22.9 21.7 6.1 82.9  
040040xx99100x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 62 3.9 3.3 0.0 72.6  
呼吸器科の入院症例としては肺炎、気管支炎、高齢者肺炎などの急性下気道感染症の患者さまが上位を占めており、肺癌など悪性腫瘍の患者さまがそれに続いています。また肺癌の患者さまに関しては入院でなく外来での治療を受けられている患者さまも少なくありません。
消化器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 94 5.5 5.5 0.0 48.0  
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 61 13.1 10.9 0.0 76.4  
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 41 6.9 7.9 0.0 60.7  
消化器科では、腹部の急病・救急疾患と消化器癌の診断治療、慢性の肝臓疾患等を中心に担当しています。病名別では例年どおり、緊急入院を要する急性胃腸炎と大腸憩室炎、救急疾患である総胆管結石・胆管炎が上位を占めております。
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 157 3.2 3.1 0.6 69.9  
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 144 20.9 18.3 3.5 82.5  
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 72 6.6 4.9 1.4 72.6  
循環器科では、心臓や下肢などの動脈硬化性疾患の診断のためにカテーテル検査を多く行なっています。外来診療から引き続き、速やかに診断・治療が行なえるように努力しています。また、高齢化社会において心不全の患者数は増加しており、再発予防のために薬物療法だけでなく、心臓リハビリテーションも積極的に行なっています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040080x1xxx0xx 肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎(15歳未満) 手術・処置等2なし 219 4.6 5.7 0.0 3.0  
140010x199x00x 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 155 6.4 6.2 2.6 0.0  
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2なし 112 4.8 5.5 0.9 1.8  
小児科は、神経、喘息、循環器、内分泌を専門とする医師が在籍しており、一般、慢性疾患、発達障害に対する外来診療を行っています。
二市三町(塩釜・多賀城・松島・七ヶ浜・利府)における二次救急の対応を引き受けています。
肺炎・気管支炎に次いで喘息も多く診ています。また、新生児の入院に関して、産科と連携して行っており、出生直後から小児科医が携わり診療にあたっています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060210xx9911xx ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2あり 37 19.7 26.7 0.0 74.3  
060335xx0200xx 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 37 6.6 7.8 0.0 56.4  
060150xx03xx0x 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 副傷病なし 34 5.5 5.6 0.0 38.8  
外科は、急性虫垂炎や急性胆嚢炎などの救急疾患に、24時間体制で迅速に対応いたします。2015年の1年間、当科で手術した急性虫垂炎の患者さまは51名、急性胆嚢炎の患者さまは76名でした(DPCの診断群分類が細分化されているため、上記区分ではいずれも30数名と表記されています)。
手術を受けたことがある患者さまの腹痛の原因として、代表的なものに癒着性腸閉塞(上記DPC名称では「ヘルニアの記載のない腸閉塞」と表記)があります。外科では、術後の体調不良にも責任を持って対応しております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 18 87.1 28.7 11.1 80.8  
160800xx97xxxx 股関節大腿近位骨折 その他の手術あり 13 60.5 20.6 0.0 77.7  
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 副傷病なし 12 33.2 21.5 0.0 75.6  
整形外科の入院症例のうち、高齢者の転倒による骨折の患者さまが多くを占めています。早期にリハビリテーションを介入することで在院日数短縮に努めています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070160xx01xxxx 上肢末梢神経麻痺 手根管開放手術等 12 2.6 5.9 0.0 71.0  
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし - 1.8 5.1 0.0 36.4  
050170xx99000x 閉塞性動脈疾患 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 2.0 8.8 0.0 84.0  
形成外科では外来診療を中心に行っており、とくに必要なものについてのみ入院での手術を行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 副傷病なし 64 11.2 18.1 4.7 75.0  
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 13 9.9 10.0 7.7 77.5  
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 12 11.7 7.5 0.0 81.2  
脳神経外科では、急性期脳血管障害を多数受け入れています。脳梗塞が多いですが、脳出血も受け入れています。
当院の回復期リハビリ病棟や地域療養病院と連携し、早期にリハビリが開始できるため、平均在院日数を短縮できています。
慢性硬膜下血腫や、急性期頭部外傷の治療も担当しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 19.3 18.3 25.0 84.3  
050161xx9900xx 解離性大動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし - 12.3 18.7 25.0 62.5  
050161xx9910xx 解離性大動脈瘤 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし - 17.3 10.1 33.3 67.0  
心臓血管外科では、急性発症の大動脈解離(解離性大動脈瘤)のうち、緊急手術の対象とならずに保存的治療で経過観察できる病状の患者さまが、当院に入院した後にできるだけ早期に退院可能となるように、必要な検査、血圧管理、リハビリなどを行っています。
また、心臓手術後の外来通院中の経過の中で心不全を来たしてしまった患者さまに対する心不全治療も行なって、早期退院が可能となるように努めています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 63 8.3 9.9 1.6 32.1  
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 51 11.7 10.2 0.0 45.7  
120140xxxxxxxx 流産 38 1.6 2.3 0.0 33.0  
当院産科では、帝王切開を目的とした入院や合併妊娠(糖尿病や高血圧)、切迫早産の管理入院を行っています。
● 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等:既往帝王切開、骨盤位、児頭骨盤不適合(骨盤と児頭の大きさがあわない)のために帝王切開分娩になった場合を指します。
婦人科では、良性腫瘍の手術を目的とした入院が上位に挙がっています。10日間の入院計画となっており、ほとんどの患者さまが予定通りの入院期間で退院されています。
●子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等:子宮筋腫で子宮全摘術や子宮筋腫核出術(開腹)を実施した件数です。
●流産:入院を要した件数です。外来で自然経過を見る場合もあり、実際の流産数とは異なります。
以上のように、当院の入院対象は一般的に知られている疾患が中心です。
リハビテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 副傷病なし 25 57.1 21.5 0.0 79.7  
010060x099030x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 副傷病なし 23 91.2 18.1 4.4 76.9  
010060x099000x 脳梗塞(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 12 84.5 15.8 0.0 80.8  
リハビリテーション科は回復期リハビリテーション病棟で入院診療を行っています。院内の整形外科や脳外科に入院してきた患者さまになるべく早くリハビリテーション病棟に移動して頂くことに努めています。これらの取り組みが、骨折損や脳梗塞が最も多い件数となっていることの背景となっています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 17 7.9 7.6 0.0 79.8  
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 1 3.2 7.5 0.0 69.9  
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術 - 9.0 10.3 0.0 77.2  
DPCを対象とした統計上には表れてきませんが、実際は前立腺癌疑いの生検が50例前後で症例数トップです。前立腺癌と診断されるのはそのうち30例前後です。
(生検: 患部の一部を針などを使って取って顕微鏡で調べること)
代謝内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xxxxxxxx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 154 15.0 15.4 0.0 66.2  
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 手術なし 68 15.2 12.6 4.4 78.4  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 36 26.0 21.7 11.1 83.8  
糖尿病代謝科では教育入院を中心に診療を行っています。
また一般内科として入院診療を行うため、高齢者を含めて感染症の患者さまが多くなっています。
腎疾患も腎臓内科医と連携して、当院で対応可能な疾患は治療を行うことがあります。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 29 7.7 7.0 10.3 61.9  
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 副傷病なし 20 2.1 3.6 0.0 51.0  
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 19 2.4 5.3 0.0 66.3  
救急科は他の診療科では対応しえない重症例(心肺停止、ショック状態、多臓器不全など)や、原因不明の意識障害、外傷などを集中治療室と一般病棟で入院診療を行っています。幅広く様々な疾患を担当していますが、意識障害の原因については症候性てんかんや薬物中毒が多いため、患者数として上位に掲載されています。
総合診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 9.7 7.0 0.0 81.7  
110310xx99xxxx 腎臓または尿路の感染症 手術なし - 12.0 12.6 0.0 64.7  
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 103.5 21.7 0.0 87.0  
総合診療科では内科の各専門科に属さない病態の入院患者さまを内科の各科と分担して担当しています。特に科として力を入れている疾患があるわけではなくその時々の状況に応じた疾患の対応を行なっています。
緩和ケア科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 10 32.5 15.0 0.0 76.3  
060020xx99x00x 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 17.6 11.3 0.0 77.9  
06007xxx99x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - 17.9 10.1 0.0 81.6  
緩和ケア科は進行癌の患者さまやご家族の抱える様々な苦痛を和らげる事を目指して、特にご本人の意思を尊重して自分らしく過ごせるようにチーム治療、ケアを提供しています。また、可能な限り在宅療養できることを大切に、外来診療・在宅医療との連携体制を整えています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

  初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 49 14 13 18 14 30 1 7
大腸癌 12 35 16 14 23 58 1 7
乳癌 23 29 10 - - 22 1 7
肺癌 14 6 19 83 29 35 1 7
肝癌 - - - - - - 1 6,7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
この表は、初めて当院を受診された際にがんと診断された患者さまが、10名以上いらっしゃる部位について、人数を記載しています。外科では、がんの専門施設で研鑽を積んだ、消化器外科(食道、胃、大腸、肝胆膵)、呼吸器外科(肺)、乳腺外科(東北大学医師の応援)の専門医師が治療を担当しています。ガイドラインに基づく標準的治療をはじめ、高齢の患者さま・様々なご病気を持つ患者さまのからだの負担に十分配慮した個別の治療方法まで、安全性や患者様の有益性を第一に考えて治療を行います。治療が難しい患者さまについては、院内検討会(キャンサー・トリートメント・カンファレンス)で討議し、最善の治療方法を検討します。例えば、癌で大腸が閉塞して食事が摂れない、多発肝転移を伴うStage IVの大腸癌の患者さまでも、大腸の癌を取り除いて食事摂取を可能とした後に、多発肝転移に対して化学療法を行い、根治を目指した肝切除が行えるようになる患者さまもいらっしゃいます。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

  患者数 平均
在院日数
平均年齢
重症度0 59 10.7 55.5
重症度1 91 13.8 73.9
重症度2 63 20.1 82.5
重症度3 37 25.1 83.6
重症度4 17 11.8 87.9
重症度5 - - -
不明 - 8.5 78.3
重症度が高い肺炎の患者さまの群では平均在院日数が延長し、平均年齢が上昇する傾向が認められています。この重症度分類は本来は「市中肺炎」(=基礎疾患の乏しい比較的元気な患者さまにおこった肺炎)を対象として設定されたものですが、今回の対象患者さまの成績は市中肺炎のほかに「医療・介護関連肺炎」(=市中肺炎よりも基礎疾患が多く体力が低下した患者さまにおこった肺炎)の患者さまも多数含まれた分析結果となっています。

脳梗塞のICD10別患者数等

ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 - 4.8 85.8 0.0
その他 - 2.0 59.0 0.0
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 3日以内 - - - -
その他 - - - -
I63$ 脳梗塞 3日以内 140 37.3 77.9 7.8
その他 26 50.4 75.7 2.4
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,
脳梗塞に至らなかったもの
3日以内 - 26.0 54.0 0.0
その他 - - - -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,
脳梗塞に至らなかったもの
3日以内 - - - -
その他 - - - -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> 3日以内 - 6.0 69.0 0.0
その他 - - - -
I679 脳血管疾患,詳細不明 3日以内 - - - -
その他 - - - -
脳梗塞はほとんど発症当日に来院なさいます。発症後4,5時間以内でしたら、超急性期血栓溶解療法が可能ですので、脳梗塞が疑われましたらすぐに受診してください。
頚動脈狭窄症に対する内膜剥離術は当院でも可能ですが、頚動脈ステント留置術はまだ施行できません。
脳血管バイパス術が必要な患者さまは、仙台医療センター、広南病院等へ御紹介しています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位3位まで)

呼吸器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - 42.6 19.6 0.0 80.2  
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - 13.5 36.0 0.0 78.0  
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ)等 - 10.0 20.0 0.0 76.5  
入院管理は呼吸器科ですが、治療過程で併存疾患も治療しており、当該科とは関連のない手術を行うこともあります。
消化器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ)等 62 2.2 10.5 0.0 75.9  
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 44 1.0 1.7 0.0 67.7  
K654 内視鏡的消化管止血術 40 0.2 9.9 0.0 70.63  
救急病院である当院の診療内容を反映して、その代表的疾患である急性胆管炎と出血性胃潰瘍に対する内視鏡的治療が上位に挙がっています。また、大腸ポリープはできるだけ日帰りでの実施をめざしており、上記の入院数は当院での治療総数の1~2割にとどまっている状況です。
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 99 4.3 6.8 2.0 73.8  
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 92 5.2 15.5 6.5 75.6  
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 28 5.4 6.5 0.0 76.9  
手術数では、心臓の血管内治療が多く、安全な治療を目指して努力しています。また、下肢などの末梢血管治療数が多いことが当院の診療の特徴です。下肢切断の原因となる重症下肢虚血の治療を積極的に行なっており、多くの方の下肢切断を防いでいます。徐脈性不整脈に対してのペースメーカー治療も行なっています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 13 0.0 6.6 0.0 0.0  
小児科における手術は、仮死状態で出生した新生児に対するもののみとなっています。2015年度の分娩件数は602件であり、そのうち13件の新生児に対して蘇生術が施行されました。
また、当院では小児の形成・外科手術も対応しており、各々の診療科で担っております。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 68 6.1 5.0 0.0 60.1  
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 37 1.0 1.1 0.0 60.7  
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 34 0.4 4.1 0.0 38.8  
内視鏡外科手術を積極的に行っており、手術が必要となる腹部救急疾患の代表である、急性虫垂炎や急性胆嚢炎も主に腹腔鏡下手術で治療しています。
2015年の1年間では、急性虫垂炎の84%、急性胆嚢炎の93%に腹腔鏡下手術を行いました。また、2015年より、鼠径ヘルニアに対しても腹腔鏡下手術を導入し、術後の早期回復・社会復帰に役立っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 16 10.9 80.8 6.3 78.8  
K0731 関節内骨折観血的手術(肩、股、膝、肘) 14 3.4 60.6 0.0 80.1  
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) - 8.3 82.5 16.7 88.0  
高齢者の転倒による骨折に対しての手術が上位を占めています。早期にリハビリテーションを介入することでADLの低下を防ぎ、また、急性期の治療が終了した後は、当院の回復期リハビリテーション病棟へ転棟し、早期の在宅復帰を目指してリハビリスタッフとも連携を図り患者さまのQOL向上に努めています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K093 手根管開放手術 10 0.5 1.2 0.0 72.5  
K1882 神経剥離術(その他) - 0.0 1.0 0.0 52.3  
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上) - 0.0 1.0 0.0 62.0  
手根管症候群のみ、手術による疼痛や術後合併症回避のため、1泊入院で手術を行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭)等 14 1.0 7.6 7.1 77.3  
K1742 水頭症手術(シャント手術) - 5.7 15.3 0.0 79.3  
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 - 0.3 58.7 33.3 75.7  
慢性硬膜下血腫は、ほとんど入院当日または翌日には緊急手術可能です。
認知症疾患センターにて発見された、正常圧水頭症に対する脳室腹腔シャント術を行っています。
脳内出血の手術は、内視鏡手術、開頭手術とも可能です。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0842 四肢切断術(大腿等) - 1.0 52.0 0.0 80.0  
K610-3 内シャント設置術 - 0.0 1.0 100.0 80.0  
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - 4.0 2.0 0.0 76.0  
人工透析が必要となった患者さまに対して、透析に使用する内シャントの造設術を行ったり、急性動脈閉塞症の患者さまに対する血栓除去術を行ったりしています。また、重症の末梢動脈疾患で十分な治療効果が得られず、残念ながら下肢の壊死に陥った患者さまに対して、下肢の切断術も行っています。下肢切断術後の患者さまは、血流が不良のため、創の治癒に時間がかかることがあり、また、下肢が切断されたことに伴う運動機能の低下を補うためのリハビリが必要となることから、入院期間が長期化してしまいます。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 65 1.6 6.5 1.5 32.1  
K877 子宮全摘術 55 2.6 9.2 0 47.4  
K9091 流産手術(妊娠11週まで) 33 0.3 0.2 0.0 32.7  
産科手術では、予定の帝王切開が最も多くなっています。2015年度の分娩件数は602件であり、臨時もあわせると、帝王切開は総分娩件数の約15%を占めています。
●帝王切開術2.選択帝王切開:最初から帝王切開と決めて予定手術をした件数です。骨盤位などの胎位異常や胎盤の位置異常のほか、既往帝王切開や筋腫核出術後など子宮破裂の恐れがあるものも含まれます。逆子を経膣分娩する事は児の安全の点から殆ど行われなくなりました。
婦人科手術では、子宮全摘術が上位に挙がっています。術後は大きな合併症を起こすことなくほぼ予定通りに退院されています。
●子宮全摘術:良性腫瘍だけでなく、子宮脱や子宮頚部上皮内がんなどにも行われます。開腹ではなく経腟的な場合もあります。
●流産手術:初期の流産は手術が必要ですが、手術が不要な中期流産もあるので診断群別分類の流産と数が異なります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術6.経尿道的手術 17 1.0 5.9 0.0 79.8  
K8412 経尿道的前立腺手術(その他) - 1.0 7.0 0.0 77.2  
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - 5.5 15.3 0.0 74.0  
膀胱癌の手術は主に内視鏡手術を行っています。
代謝内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K721-21 内視鏡的大腸ポリープ切除術(長径2cm未満) 10 11.5 4.8 0.0 70.3  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - 37.1 31.1 57.1 81.6  
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 - 8.3 66.5 0 69.3  
糖尿病の入院中に発見される大腸ポリープの治療を行うことがあります。
一般内科として高齢者を担当する事が多く、経口摂取が出来なくなった患者さまでは胃瘻造設を行うこともあります。
循環器科と連携して糖尿病足病変患者を担当するため、下肢閉塞性動脈硬化症の治療を行うことがあります。
救急科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 - 10.0 27.6 40.0 81.4  
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - 45.7 54.7 33.3 78.3  
K654 内視鏡的消化管止血術 - 0.0 6.0 0.0 65.0  
救急科が単独で行う手術の殆どは気管切開術となっています。その他の手術については、救急科が担当している入院症例について、手術を他診療科へ依頼しているものです(例:胃瘻造設術は消化器科へ依頼しています)。
総合診療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K333 鼻骨骨折整復固定術 - 3.0 2.0 0.0 93.0  
総合診療科では内科の各専門科に属さない病態の入院患者を内科の各科と分担して担当しています。特に科として力を入れている疾患があるわけではなくその時々の状況に応じた疾患の対応を行なっています。
緩和ケア科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K522-2 食道ステント留置術 - 3.5 11.5 0.0 82.0  
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 - 83.0 85.0 100.0 67.0  
K651 内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術 - 13.0 12.0 0.0 73.0  
緩和ケアで入院されている患者さまは、様々な癌であるため手術は多岐にわたり、特定の手術にかたよりはありません。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 請求率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - 0.03
異なる - 0.05
180010 敗血症 同一 37 0.56
異なる 37 0.56
180035 その他の真菌感染症 同一 - 0.00
異なる - 0.00
180040 手術・処置等の合併症 同一 22 0.33
異なる - 0.02
入院中に主に治療した傷病名「播種性血管内凝固症候群」「敗血症」「その他の真菌感染症」「手術・処置等の合併症」について、その症例が入院のきっかけとなった傷病名と同じかどうかを区別し、その症例数、請求率(当院の1年間の全請求データにおける割合)を集計したものです。
厚生労働省による平成26年度の全国DPC対象病院データ集計では、全症例に対する割合は、「播種性血管内凝固症候群」が0.17%、「敗血症」が0.56%でした。当院では播種性血管内凝固症候群は全国平均よりも低く、敗血症はほぼ同じ割合となっています。
「敗血症」のうち、入院のきっかけとなった傷病名と異なるケースは、肺炎や尿路感染症などの感染症がほとんどです。平均年齢が75歳と高齢であることから、治療過程で全身状態が悪化し、敗血症という重篤な病態となったと考えられます。
「手術・処置等の合併症」は、透析患者さまのシャント狭窄が6割を占め、その他は処置後の出血や、体内に挿入されたカテーテル等の感染症、術後の狭窄などの症例がみられます。手術や処置を施行する際には合併症を起こさないように細心の注意を払っていますが、合併症は一定の確率で起こり得るものです。起こり得る合併症については、事前に患者さまに説明させていただいています。

更新履歴

2016年9月28日
初版公開