睡眠時無呼吸症候群を検査するには?(1回目)

2017.06.05

寝ている間に無呼吸状態になる、または、呼吸の回数が減る「睡眠時無呼吸症候群」とその検査、治療について3回に分けてお送りします。
第1回目は睡眠時無呼吸症候群について説明します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)って?

私たちの睡眠を妨げる要因のひとつとして最近注目されている病気に、睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)があります。文字どおり、眠っているときに無呼吸や低呼吸になる症状です。

無呼吸・低呼吸状態とは、呼吸が10秒以上止まっていたり、弱くなっていたりすることを指し、この状態が7時間に30回以上、あるいは1時間あたり5回以上あると睡眠時無呼吸症候群と判断されます。

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、日中の眠気、朝の頭痛や倦怠感、記憶・集中力の減退、夜間の頻尿、睡眠中の大きないびき、あえぎ呼吸・窒息感などがあります。夜間眠っている時の症状は、家族など周囲の人からの指摘で気が付くことが多いです。

2003年に新幹線の運転手が居眠りをして停車駅を通過するという事故があり、この症候群がクローズアップされました。最近の調査では、睡眠時無呼吸症候群の運転手の4割が居眠り運転を経験していることが明らかになりました。居眠り運転での交通事故が、社会問題のひとつとなっています。

睡眠時に無呼吸・低呼吸状態になると、十分な酸素を体に取り入れることができず、睡眠不足や低酸素血症(いわゆる酸欠)になって、心臓に大きな負担がかかることがあります。放置しておくと、狭心症、不整脈、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす恐れがあります。また、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などさまざまな病気を引き起こす一因になります。

次回は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法について説明します。