2017年度

2017年度(平成29年度)事業報告

公益財団法人 宮城厚生協会は1950年2月21日に設立されて以降、設立趣意書に示される理念「医療事業は、社会の各人が健康であって、明るい生活を、その職場において家庭において営むことのできるようにする、いわば明日の労働を楽しくできることに仕向ける公益的性格をもつ組織活動であって、国民一般の福祉増進こそ唯一の目標とするものである」を礎に、その目標を達成するための事業を行っている。

事業概要

1)患者の立場にたつ診療事業

2017年度の外来取扱い患者数(延べ数)は440,533名、入院は216,981名である。救急医療では救急車搬入件数は総数で4,381件、とりわけ坂総合病院は3,717件の搬入となっている。坂総合病院は塩釜地区休日急患診療担当二次病院施設として、地域の二次輪番制を担い、古川民主病院は宮城県第二次救急医療施設として、大崎地域の救急車の受け入れを行っており。一方で、大崎地域唯一の「在宅療養支援病院(機能強化型)」「地域包括ケア病床」を取得し、積極的に在宅患者の受け入れを行っている。長町病院は、回復期リハビリテーション病棟および地域包括ケア病床の活用で、急性期後の社会復帰に貢献している。また、在宅療養支援病院(機能強化型)として、高齢者医療・在宅医療を支え、糖尿病をはじめとする慢性疾患医療を行っている。泉病院は脳血管系疾患急性期の診断と内科的治療、神経難病、認知症の診断、整形疾患も含めたリハビリテーション領域で社会復帰を支援している。

2015年8月1日坂総合クリニックが、宮城県認知症疾患医療センター(診療所型)指定を受けた。担当地域は黒川郡と塩釜地区で人口28万人である。地域で認知症への早期介入にかかわる医療と認知症連携協議会の立ち上げ、各種研修事業、初期集中支援チームへの協力を行っている。

2)生活困窮者への無料・低額診療事業

当法人は、第二種社会福祉事業として社会福祉法第2条第3項9号に規定する「生活困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」(無料・低額診療制度)を、坂総合病院、長町病院、泉病院、古川民主病院、坂総合クリニック、坂総合病院附属北部診療所、くりこまクリニック、中新田民主医院の8事業所で実施している。2017年度の無料低額診療件数は法人全体で16,273件となっている。

各事業所では、生活困窮者など経済的な理由で、病院にかかれない方々に対して、医療相談室を中心に定期的な面談等を行い、生活再建に向けて支援を行っている。坂総合病院の2017年度無料低額診療件数は10,382件、坂総合クリニックの2017年度無料低額診療件数は2,967件、長町病院の2017年度無料低額診療件数は1,050件、相談件数は、11,292件となっている。泉病院の2017年度無料低額診療件数は1,313件となっている。古川民主病院の2017年度の無料低額診療事業は302件、相談件数は4,235件となっている。中新田民主医院の無料低額診療は25名である。くりこまクリニックの診療圏では、地域産業の中心であった第一次産業である農業・林業は衰退の一途であり、診療圏は活気を失っている。こうした状況下で2017年度の無料低額診療延べ患者数は223件と昨年より増加している。

長町病院附属歯科クリニックでは生活保護受給者の受診は年間876人、古川民主病院歯科での生活保護受給者の受診は年間465人となっている。無料低額診療延べ患者数は11人となっている。

3)保健予防・健康管理事業

各事業所における健診活動とともに、振動病・頸頚腕障害・職業性腰痛、被爆者健診及び被爆者二世健診、アスベストによる健康障害やじん肺労働者、住民健診に取り組んでいる。

疾病予防事業では、厚生労働省認定の健康増進施設である坂総合クリニック内の「メディカルフィットネスのびのび」での運動療法は、登録会員数284名、延べ利用者数16,988名となっている。長町病院内の「のびのびながまち」では、登録会員数52名、延べ利用者数3,067名となった。

坂総合病院では、一般健診、協会けんぽ健診、自治体の子宮癌検診や脳検診のほか、育児健診920件、被爆者健診36件をなども受け入れている。委託を受けた福島県から避難している住民の甲状腺健診は双葉町2件を受け入れた。また、感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づく事業(県内では宮城県立がんセンターと2ヵ所のみ)として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん健診(がん検診推進事業)を受け入れている。また、精密検査に応えるため乳腺MRI用マンモコイルを設置している。

長町病院は、宮城県の被爆者健診を48名受入れている。委託を受けた福島県から避難している住民の甲状腺エコー健診は、双葉町12件となっている。HB肝炎訴訟健診、一般健診、協会けんぽ健診、自治体が実施する肝炎ウイルス健診、大腸がん健診、前立腺がん健診、仙台市特定健診を2,584件、特定保健指導7件、仙台市乳幼児健診81件を実施している。近隣の保育所2か所からの委託健診および太白区・若林区の自治体集合乳幼児健診に医師を派遣している。

泉病院は、一般健診は2,132件となっている。協会けんぽ健診、仙台市住民健診や事業所健診の他、自治体脳ドック検診もおこなっている。昨年度に引き続き運転従事者の脳ドック検診を行っており、MCIドックも行っている。

福島第一原発事故被ばくの不安を抱える白石越河地域在住の児童等の甲状腺エコー健診は、今年度実施し1名の医師をはじめ6名の職員を派遣し12名が健診を受けている。

全国労働衛生団体連合会の総合管理調査施設として、胸部エックス線精度管理、臨床精度管理、鉛・有機溶剤・特定化学物質精度管理に参加し、A評価を得ている。職域健診では健診結果の集団分析等を通して事業所への健康支援を行っている。保育及び介護に携わる労働者の腰痛健診を行い、腰痛防止対策の支援を行っている。

長町病院附属歯科クリニック、古川民主病院歯科はともに県歯科医師会の成人歯科検診と後期高齢者歯科検診の登録医療機関となり健診患者を受け入れており、2017年度は、古川民主病院歯科で成人66名後期高齢者14名、長町病院附属歯科クリニックでは成人20名後期高齢者11名が受診している。また、古川民主病院では古川支援学校と市内4箇所の保育園の園児の歯科健診を行っている。

古川民主病院は、市内でも多くの保健予防・健診事業を行っている。2017年度の健診数は3,633件となっている。一方で、全国健康保険協会生活習慣病予防健診実施機関・特定健康診査実施機関・特定保健指導実施機関・公益社団法人全国労働衛生団体連合会特定健康診査実施機関・特定保健指導実施機関として保健予防活動を行っており、地元企業と産業医契約を結び定期巡視を行っている。

4)研修及び研究事業

坂総合病院は、医学部実習カリキュラムの位置づけとして、東北大医学部から5年次地域医療実習13名、6年次高次医学修練3名、神戸大医学部から6年次個別計画実習1名、また、全国の医学部から96名の実習を受け入れている。東北薬科大から薬学生の臨床実務実習4名を受け入れている。看護実習は県内4校から111名受け入れている。また、高校生看護師1日体験を宮城県内から91名受入れている。その他、県内4大学から臨床栄養学実習11名、リハビリテーション分野では11校から14名受け入れている。他に社会福祉士の実習や体験学習も受入れている。また、院長は糖尿病代謝科、産婦人科科長は婦人科の東北大学医学部臨床教授に、副院長は呼吸器内科の東北大学医学部臨床准教授に任命されている。他にも、複数の医師が医療技術系専門学校の講師を担っている。

長町病院は、学生教育分野では、東北大学医学部5年次地域医療実習1名、1年次地域医療体験実習4名、高校生1日医師体験4名、1日看護体験は65名、看護学生は14名、宮城大学老年看護実習21名、リハビリテーション分野は養成学校から15名、社会福祉士1名、管理栄養士6名の学生実習を受け入れている。また、医師・看護師をめざす高校生などの職場体験も受け入れている。日本リハ医学会研修修練施設を取得している。医師による大学などでの講義活動、認知症看護認定看護師、摂食嚥下障害看護認定看護師、認知症ケア専門士、リハビリ職員、健康運動指導士が地域で講演活動を行っている。また、院長は東北大学医学部臨床教授に任命されている。

泉病院は、協力型臨床研修病院として12名の初期研修医を受け入れている。看護学生見学2名の他、リハビリテーション5名、栄養士6名、社会福祉士1名の臨床実習を受け入れている。また、医学部を目指している高校生・予備校生の体験実習として1名を受け入れている。

古川民主病院は、協力型臨床研修病院として、また、みちのく総合診療医学センター(日本プライマリ・ケア連合学会認定プログラム)の後期研修施設として登録し、プライマリ・ケアを目指す後期研修医を6ヶ月間ずつの2名の受け入れを行った。また、社会福祉士やリハビリテーション分野での学生実習や地元中高生の職場体験も受け入れている。

古川民主病院歯科では、東北大学病院歯科医師臨床研修プログラムの協力型臨床研修施設として研修医1名を受け入れている。仙台医療福祉専門学校歯科衛生士学科から4名、宮城県高等歯科衛生士学院から3名の実習生の受け入れを行っている。また、古川歯科所長が東北大学歯学部臨床教授に任命されている。

5)訪問看護・介護、通所、在宅介護支援事業、障害者の医療・福祉事業

地域連携を重視した訪問看護・訪問介護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションを行っている。定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業は2ヶ所で実施している。介護支援専門員は51名を配し、医療機関・介護事業所・自治体と連携し、社会的背景を視野に入れ、困難を抱える利用者への対応も積極的に取り組んでいる。看護・介護との連携により人工呼吸器装着者や在宅酸素療法者、知的障害者などの困難事例も積極的に受け入れている。ターミナルの訪問看護や介護にも応えている。 また、喀痰吸引や経管栄養など他事業所で引き受け手の少ない重度者・児の受け入れも積極的に行っている。

長町病院は、仙台市通所型短期集中予防サービス「元気応援教室」の指定を受け、延べ300名が参加している。今年度から運動に口腔、栄養、生活を含めた複合サービスに変わり、10数回の口腔体操などの実施が義務付けとなった。

6)住民との協力による健康増進事業

坂総合病院は、「第39回みやぎ東部健康福祉友の会健康まつり」を「ひろがれ、つながれ、健康づくり」のメインテーマのもと9月10日に開催した。坂総合病院を会場とした開催は2011年以来で、約900名が参加し、企画として健康チェックや健康相談、医師による講演会、ちびっこ広場やこども薬剤師体験などを実施した。

塩釜、多賀城の災害公営住宅での血圧測定や健康相談会は32回開催され、職員を含め485名が参加した。健康講演会は、認知症や在宅医療についてなど様々なテーマで10回開催し247名が参加、青空健康相談会はスーパーの店頭などで15回496名の参加で行われた。毎年行っている離島桂島での健康相談の訪問活動は8名で実施し、27件で健康状態などの聞き取りを行った。

長町病院の健康まつりには1,100名が集い、健康チェック(血糖値測定、体力測定、血圧、体脂肪測定)を延べ179名が受け、みそ汁試飲や栄養・医療・介護・認知症相談に応じ、地域から歓迎されている。4か所地域で青空健康相談会を実施し、89件の健康相談を受けている。地域のコミュニティセンターなどで実施する班会は153回を数え、健康チェックと各種健康講話を実施している。太白区中央市民センターを会場にした「いきいき・ニコニコおたっしゃ講座」は、「生活習慣病について」「延ばそう健康寿命」「歯と口の健康づくり」「知って得する食生活」をテーマとした4回シリーズに延べ98名が参加、健康づくりチャレンジでは23名がチャレンジし、17名が目標達成した。認知症認定看護師による医療講演会も開催している。

泉病院は、医師による認知症等をテーマにした健康講演会を8回開催し225名が参加している。健康相談会を7回開催し延べ147名が参加している。健康増進を目的とした「健康まつり」を地域住民との協力で開催し、悪天候にもかかわらず約700名が参加している。また、地域ごとに班を構成し班会を105回開始し延べ787名が参加している。夏休み子ども一日病院探検に小学生5~6年生が12名、高校生の看護体験に36名が参加している。

古川民主病院は、古川支部、加美支部、遠田支部の3箇所で健康まつりを開催し、延1,850名が集っている。テーマは、「認知症予防」など地域住民のニーズに応える内容で開催している。

くりこまクリニックは、年に1回開催される「健康まつり」は地域の会員、住民の方々が400人以上集い、地域から「待たれるまつり」になっている。健康まつりでは骨密度健診体験、頚動脈エコー体験健診、体脂肪測定などをおこない、参加者から大いに歓迎されている。

長町病院附属歯科クリニックは、「長町病院健康まつり」、古川民主病院歯科は、大崎健康福祉友の会の「古川」「遠田」「加美」の各支部の健康まつりに参加し「お口の健康相談」を行っている。

7)総合的な社会保障確立のために

地域住民の健康権を守るため、4病院で社会福祉士等による医療生活相談援助に取り組んでいる。各事業所の相談件数は、坂総合病院16,149件、長町病院11,292件、泉病院4,479件、古川民主病院4,235件、法人全体での2017年度の相談延件数は36,155件となっている。

各事業所概要

坂総合病院

仙台二次医療圏内で北東に位置する拠点病院として、地域医療支援病院、宮城県災害拠点病院(地域災害医療センター)、救急指定病院、基幹型臨床研修指定病院の指定を受け、塩釜市、多賀城市、利府町、松島町、七ヶ浜町2市3町を診療圏として役割を果たしている。

救急医療では、塩釜地区休日急患診療担当二次病院として他の5つの病院と協力しながら中心的役割を果たすとともに、24時間365日急患を受け入れる病院として地域に根ざした医療を展開している。今年度の救急車搬入は年間3,717台、救急受入れ患者数は16,259名となっている。

地域医療支援病院としては、塩釜地域2市3町の歯科を除く医療機関102件中79件が登録医療機関であり、紹介率は74.5%、逆紹介率は132.8%となっている。紹介実数も2016年度5,460件から2017年度5,640件と増やしている。施設共同利用として登録医も対象としたカンファレンス・講演会も開催している。BLS講習会1回、ICLS講習会6回、ICLS指導者講習ワークショップ1回開催している。登録医による手術室利用も3件となっている。

看護師を対象とした地域開放型研修会を開催している他、地域の医療機関から要請を受けて職員の研修受け入れも行っている。2017年度6ヶ月間の助産師研修1名、下肢血管超音波検査の研修で臨床検査技師1名を10日間受け入れた。

各種学会の認定教育も実施している。日本救急看護学会主催のJNTEC (外傷初期看護)コースを2016年から当院で開催しており、2017年度は32名(当院看護師3名を含む)が受講し、東北地方の救急に携わる看護師の受講の場を提供することに寄与できた。また、2016年12月に日本静脈経腸栄養学会認定NST専門療法士教育施設の認定を受け、2017年度は初めてNST専門療法士実地修練を5日間にわたって開催し、県内の他医療機関からの受講者も3名受け入れることができた。

医師会・看護協会・各技師会、各学会・研究会、小学校・中学校・高校・大学、各医療機関の要請に応え、医師・保健師・看護師(感染管理、認知症看護、皮膚・排泄ケア、救急看護の認定資格者含む)・診療放射線技師・健康運動指導士等を講師として派遣している。塩釜地区メディカルコントロール協議会委員を担い、今年度は救急救命士の気管挿管実習3名、就業前教育実習を3名受け入れている。

感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づく事業として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん検診(がん検診推進事業)を受け入れている。また、精密検査に応えるため乳腺MRI用マンモコイルを設置している。

災害拠点病院としては、災害実動訓練を4月に塩釜地区消防事務組合の救急隊及び仙台保健福祉事務所(塩釜保健所)や各行政にも協力をいただき実施している。災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team、DMAT)2隊を組織し東北ブロックDMAT参集訓練に参加している。また、塩釜市の委託事業として、仮設住宅入居者に「生活と健康援助」を目的に健康相談会を開催している。

基幹型臨床研修指定病院として初期研修医1年目を10名、2年目11名を受け入れている。また、21学会の認定施設を取得し、後期研修医の受入れにも力を入れている。後期研修医は17名(内、みちのく5名)受け入れている。特に「みちのく総合診療医学センター」は総合医や家庭医の研修育成システムとして地域的にも要望が高く、県内で最初のプログラム認定を受け、東北大学や気仙沼市・石巻市などの診療所などとも連携し、地域医療を担う医師養成に取り組んでいる。

長町病院

回復期リハビリテーション病棟を持つ医療機関として、脳卒中および大腿骨頸部骨折地域連携パスに参加するなど連携を重視している。同病棟は、新入院患者(年間376名)はそのほとんどが他医療機関からの紹介により運営されている。地域包括ケア病床として12床取得している。糖尿病診療で糖尿病療養指導士が配置され、教育プログラムを持ち、栄養指導や運動療法などを実施している。入院医療では治療及び教育・指導、外来では糖尿病教室など生活指導を重視して力を入れている。糖尿病管理患者は1,500名となっている。禁煙外来、無呼吸症候群検査も実施している。小児科は、乳児健診・予防接種に対応している。

在宅・介護分野では、在宅療養支援病院(機能強化型)の施設基準を取得している。行政と連携し「長町・郡山在宅ケア連絡会」を構成し、長町病院がその代表を担い、在宅医療および介護分野に関する職種の情報交換と研修を4回開催(太白区全体エリア1回含む)し、3つの地域包括支援センターと連携している。また仙台市通所型短期集中予防サービス事業の指定を受け、元気応援教室を開催している。居宅介護支援事業所に主任ケケアマネジャー3名を配置し、地域包括支援センターや医療機関医師からの困難事例を受け入れている。生活保護の方も入居できる住宅型有料老人ホームはなみずきは、満床となっている。

東日本大震災後2012年6月から「あすと長町仮設住宅自治会」から申出を受け、「あすと長町仮設住宅生活支援プロジェクト」を設置し、医療・健康・生活相談活動を毎月開催し、復興公営住宅への移住後も3か所の復興公営住宅での健康相談会を継続している。

日本リハ医学会研修修練施設の認定を取得している。医師による大学などでの講義活動、認知症看護認定看護師、摂食嚥下障害看護認定看護師、認知症ケア専門士、健康運動指導士が地域での講演活動を行っている。

学生教育分野では、東北大学医学部5年次地域医療実習1名、1年次地域医療体験実習4名を受け入れている。看護部看護体験実習14名、宮城大学老年看護実習21名を受け入れている。リハビリテーション分野は養成学校から15名受け入れている。社会福祉士1名、管理栄養士6名の学生実習を受け入れている。医師・看護師をめざす高校生などの職場体験も受け入れている。

泉病院

脳卒中診療ではt-PAをはじめとする急性期脳卒中診療から回復期リハビリテーション、介護保険事業を含めた維持期リハビリテーションを地域に提供している。頭痛、めまい、しびれ等の脳神経疾患のプライマリ・ケアを地域の中で担っている。二次救急医療機関として仙台市病院群当番事業に協力病院として参加し仙台市北部地域を中心に救急を受け入れている。脳血管疾患につながる循環器疾患、糖尿病についても専門外来で診療を行っている。

在宅診療では、在宅療養支援病院(機能強化型)の施設基準を取得しており、約60名の在宅療養患者を管理し急性増悪時に入院診療でも対応している。

医療連携は、地域連携室を窓口に担当室長および医療ソーシャルワーカーが対応している。脳卒中地域連携ネットワークに参加し、回復期リハビリテーション病棟に急性期病院から患者を受け入れている。

介護事業では、地域包括支援センター、ケアステーション、介護施設などと連携し、地域で生活する人々の介護支援を行っている。

健診分野では、協会けんぽ生活習慣病予防健診実施機関、特定健康診査実施機関として保険予防活動を行っている。また、自治体脳ドック健診の受け入れを継続し行い、運転従事者脳ドック検診の受入れも行っている。2017年からのMCIドックを行っている。

疾患予防では、健康増進活動を重視し、医師による認知症や神経難病に関する講演会を地域包括支援センター等と協力し行っている。保健講座、健康相談会、健康まつりを開催している。

医師養成では、脳卒中学会教育施設、神経内科准教育関連施設の認定を受け、専門医を目指す医師を受け入れている。また、地域プライマリ・ケアを重点としたプログラムで協力型臨床研修病院として研修医を常時2~3名ならびに総合診療後期研修医1名を受け入れている。学生実習としては、リハビリ、社会福祉士、管理栄養士を受け入れ医師・看護師を目指す学生の職場体験を受け入れている。

古川民主病院

古川民主病院は、大崎市内で唯一の機能強化型在宅支援病院を取得し、地域包括ケア病床を有している病院となっている。2017年度は、新たに地域包括ケア病床を6床増し14床とした。地域医療機関の後方病院として、地域開業医の先生方、在宅患者の入院受け皿として機能を果たしている。また、これまで通り在宅医療に重点を置き、患者が長く住み慣れた自宅・地域で過ごせるよう地域の医療機関及び訪問看護ステーション等との連携をすすめ、訪問診療・終末期医療への取り組みも積極的に行っている。

当院の入院施設は、県北唯一の障害者施設等入院施設として、医療度の高い遷延性意識障害者、重度の障害者・肢体不自由者を大崎医療圏以外からも受け入れている。さらに、介護療養型医療施設は41床を運用しており、地域住民からの長期療養施設への入所要望は強い。また、介護する家族が社会通念上緊急的やむを得ない理由により、要支援高齢者の介護が出来なくなった場合に、一時的に受け入れる大崎市家族介護支援レスパイト事業にも取り組んでいる。

地域住民の方々への健康啓蒙活動も積極的に行っており、活動範囲は大崎市に限らず近隣の美里町のへの活動も行っている。啓蒙活動には、医師をはじめとした看護師等のコメディカルスタッフを派遣し、地域住民からの要望を受け多彩な健康増進活動・学習会、健康相談会などを開催し、地域のコミュニテー広場としての役割も大きい。17年度は68回開催し延べで778名の地域住民が参加した。

また、大崎市からの委託事業としてリハビリスタッフによる「100歳体操」を年6回開催し参加人数は107名となっている。さらに宮城県の子育て支援に関する事業では、発育・発達相談に小児科医師の派遣も行っている。救急告示病院としても救急車の受け入れを行っている。

診療所群
くりこまクリニック

くりこまクリニックは、約20年前に現地に新築リニューアル後、地元の鉱山やトンネル工事などに従事していたじん肺の患者さんに対する医療を中心に行っている。現在も90人以上の方が定期的に通院している。ただし、じん肺患者さんの高齢化にともない年々患者数は減少している。なお、過去に鉱山等の粉塵職場に従事しながら受診されていない方も沢山存在する。

労災だけでなく、地域医療に密着する取り組みも重視しており、2事業所の産業医、2つの学校医、小規模事業所の事業所健診にも積極的に取り組み、協会健保の指定医療機関にもなっている。

地域経済の後退が顕著な地域であり、受診の困難な方が安心して受診できるよう無料・低額診療事業にも取り組み、現在は12名が通院している。

中新田民主医院

中新田民主医院は、人口減少地域にあり、往診は山形県境まで広範囲に及び、在宅ターミナルにも取り組んでいる。地域の状況を考慮し、慢性疾患を中心に、内科も外科も診療できる診療所として地域に根ざした医療を展開している。1973年から地域で血圧測定会や健康相談会を開催し、地域住民の健康増進運動に継続して取り組んでいる。院内では地域住民の方へ「認知症予防サロン」を開催している。また、中小企業の産業医、町立小学校校医も担っている。通所リハビリテーションを併設し、医療・介護の複合的事業を行うことで、高齢者の在宅療養をサポートしている。

仙台錦町診療所

仙台錦町診療所は、法人の経営5ヶ年計画に基づき2017年5月に長町病院にあった健診センターと統合し、経営改善、医療内容の向上に努めている。法人の産業医学センターを併設し、労働衛生分野における医療活動・健診活動を展開、産業衛生分野では18事業所の産業医活動を行っている。産業医科大学の指定研修医療機関に指定されている。

生活習慣病(糖尿病、高血圧等)の慢性疾患管理や呼吸器系疾患等の診療を行うとともに、頸肩腕障害・腰痛・じん肺・振動障害等職業起因性疾患患者の診療を行っている。

患者・地域住民を対象にした「保健講座」の開催、仙台市青葉ブロック在宅当番医会の協力医として休日当番診療を担っている。健診事業としては、一般健康診断の他に、けいわん・腰痛健診、じん肺健診、石綿アスベスト健診、電離放射線健診、手話通訳者健診などにも取り組んでいる。また、「過労死110番」「アスベスト患者・家族の会」「宮城県働く人の健康と環境改善をすすめる会」の事務局を担っている。

若林クリニック

若林クリニックは、若林区六郷地区にあって、震災に伴う被災者が多い地域である。訪問診療も含めた内科診療に取り組むとともに、保健予防活動として、特定健診・基礎健診(仙台市市民健診等)に積極的に取り組んでいる。また、地域住民の健康を守る立場から「健康まつり」の開催や健康相談会での骨密度測定、定期的な尿検査、血圧測定、健康講話等を開催している。

坂総合病院附属北部診療所

坂総合病院附属北部診療所は、坂総合病院と連携し月2回糖尿病・代謝科専門外来を行い、200名余の糖尿病等の患者を管理している。2018年3月現在の在宅管理患者は80名で、塩釜市北部、利府町、松島町に訪問診療を行っている。併設している通所リハビリテーションや近隣の訪問ケアステーション、調剤薬局とも連携し、居宅介護支援を含む合同のカンファランスを行いながら、医療・介護の総合的な在宅管理を行い、高齢者の在宅療養をサポートする、地域のセンター的役割を担っている。また、2017年6月には地域住民を対象に、保健師による「介護保険のしくみ」の健康講和会を開催し、30余名が参加している。みやぎ生協杉の入店での「あおぞら血圧測定会・健康相談会」も行っている。無料低額医療制度も継続して行われている。

坂総合クリニック内にあるメディカルフィットネスのびのび

厚生労働省認定の健康増進施設及び指定運動療法施設として地域住民の健康増進に努めている。

長町病院内にあるメディカルフィットネスのびのびながまち

仙台市から委託を受け「通所型介護予防事業(元気応援教室)」を実施している。

歯科群

訪問歯科診療を重視し、地域医療機関・介護機関との連携を進め、歯科医療機関に通院できない住民の口腔状態の改善に取り組んでいる。学校保健安全 法第24条に基づき、学校病医療券を活用している小中学校児童の歯科治療を受け入れている。また、古川民主病院歯科は無料・低額診療事業も行っている。

長町病院附属歯科クリニックは口腔の定期管理を中心とした外来診療、生活保護法受給者等の歯科診療に取り組むとともに、訪問歯科診療においては地域医療機関と連携しながらX線撮影装置、ポータブルユニットを携行し、診療室に近い装備で行っている。介護度の高い方へも定期的な口腔ケアを実施している。また、地域での健康増進活動として「長町病院健康まつり」に参加し「お口の健康相談」を行っている。

古川民主病院歯科は、一般歯科、小児歯科、口腔外科、歯科矯正、歯科往診と乳幼児から高齢者まで幅広い歯科医療を行っている。地域との連携では大崎歯科医師会休日診療当番に参加しているほか、大崎地域開業医より外科系を中心に年間70件を超える紹介を受けている。宮城県病院歯科連絡会に参加し、県内の病院歯科間の連携、病院歯科と診療所歯科間の連携を維持強化する取り組みを行っている。宮城県立古川支援学校の学校歯科医として、障害児・生徒の歯科診療及び口腔健康管理を行っている。平成28年度から東北大学歯学部の協力型施設として登録を行っている。歯科衛生士養成として養成機関から実習生を受け入れている。

介護事業、ケアステーション

介護事業は、医療と介護の連携をはかるとともに、利用者に寄り添い、総合性と継続性、無差別、民主制、人権を守る立場で事業を行っている。特に、医療機関と連携し重症者、低所得者を中心に様々な困難を抱える利用者への支援を行ってきている。ケアステーションでは、看護師・ヘルパー・ケアマネジャー・リハセラピスト等を配置し多職種共働の取り組みにより、利用者にとってワンストップで必要なサービスが受けられるよう体制を整えてきた。退院後に医療的処置を必要とする方は増加傾向にある。専門職による療養環境つくりも含め、患者・家族が安心して療養できるようサービスを提供している。

がん末期患者は病状によって急遽退院が決まることが多く、退院日から訪問が行えるよう主治医や医療機関と連携を強めている。本人・家族の要望を尊重することで、住み慣れた家で穏やかに看取る事例が増えている。ケアステーションつくし・ながまちでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスの提供により、家に帰りたいという思いを叶えている。吸引や経管栄養の必要な老々介護の利用者への連日複数回訪問により、安心して療養出来るよう支援している。また筋萎縮性側索硬化症(ALS)等で人工呼吸器を装着している利用者は、頻回な吸引や体位交換を必要としており、意思疎通が困難な利用者の様子を見ながら、安全なサービスを看護師・ヘルパー・リハセラピストの連携で行っている。また、重度の乳幼児への訪問依頼も増えており、多職種連携により母親にかかる負担の軽減に努めながらケアを行っている。法人以外の病院・地域開業医から依頼数は2018年3月時点で訪問看護指示書の件数は373件で全利用者の52%となる。24時間365日の緊急時対応を行っており在宅で安心して生活できるよう支援している。精神疾患による医療保護入院患者について、退院後の生活支援も含め対応を行っている。

職員研修個人毎の年間計画に基づき毎月研修を行っており、さらに常勤者については年1回外部研修を受講させている。

以上