事業報告

2019年度(令和元年度)事業報告

公益財団法人宮城厚生協会は1950年2月21日に設立されて以降、設立趣意書に示される理念「医療事業は、社会の各人が健康であって、明るい生活を、その職場において家庭において営むことのできるようにする、いわば明日の労働を楽しくできることに仕向ける公益的性格をもつ組織活動であって、国民一般の福祉増進こそ唯一の目標とするものである」を礎に、その目標を達成するための事業を行っている。

事業概要

1)患者の立場にたつ診療事業

坂総合病院は、塩釜地区休日急患診療担当二次病院施設として、地域の二次輪番制を担い、年間3,902件の救急車を受け入れている。地域医療支援病院としては、登録医療機関99件、登録医師108名であり、紹介率は83.0%、逆紹介率は143.7%、紹介実績は5,732件となる。長町病院は、回復期リハビリテーション病棟および地域包括ケア病床の活用で、急性期後の社会復帰に貢献している。また、在宅療養支援病院(機能強化型)として、高齢者医療・在宅医療を支え、糖尿病をはじめとする慢性疾患医療、健診等保健予防事業に取り組んでいる。泉病院は、脳血管系疾患急性期の診断と内科的治療、神経難病の診断とリハビリ、認知症の診断、整形疾患も含めたリハビリテーション領域で社会復帰を支援している。古川民主病院は、宮城県第二次救急医療施設として、大崎地域の救急車を受け入れる一方で、大崎地域唯一の「在宅療養支援病院(機能強化型)」「地域包括ケア病床」を取得し、積極的に在宅患者を受け入れている。また、坂総合クリニックは、宮城県認知症疾患医療センター(診療所型)指定を受け、地域で認知症への早期介入にかかわる医療と認知症連携協議会の立ち上げ、各種研修事業、初期集中支援チームへの協力を行っている。

2019年度外来及び入院数(延べ数:人)
  外来患者数 入院患者数
法人総合計 412,533 217,424
坂総合病院 58,858 117,382
長町病院 43,879 47,087
古川民主病院 41,621 26,433
泉病院 35,769 26,522
診療所群 195,784  
歯科群 36,622  
2)生活困窮者への無料・低額診療事業

当法人は、第二種社会福祉事業として社会福祉法第2条第3項9号に規定する「生活困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」(無料低額診療制度)を、坂総合病院、長町病院、泉病院、古川民主病院、坂総合クリニック、坂総合病院附属北部診療所、くりこまクリニック、中新田民主医院の8事業所で実施している。

窓口での掲示、ホームページへの掲載、事業所内で開催する認知症予防サロン等のイベントでの広報、住民向けの説明会を行うとともに、障害者の就労支援センター、包括支援センターからも相談を受けている。

2019年度の無料低額診療患者数(延べ数:件)
  無料低額診療患者数
法人合計 44,242
坂総合病院 19,214
長町病院 9,695
泉病院 2,717
古川民主病院 2,333
診療所群 10,283
3)保健予防・健康管理事業

各事業所における健診活動とともに、健診を受け入れている。疾病予防事業では、厚生労働省認定の健康増進施設である坂総合クリニック内の「メディカルフィットネスのびのび」での運動療法は、登録会員数276名、延べ利用者数12,772名となっている。長町病院内の「のびのびながまち」では、登録会員数49名、延べ利用者数2,525名である。若林クリニックは、仙台市の通所型短期集中予防サービス事業「元気応援教室」を実施している。

坂総合病院では、一般健診、協会けんぽ健診、自治体の子宮癌検診や脳検診、育児健診の他、被爆者健診28件をなども受け入れている。委託を受けた福島県から避難している住民の甲状腺健診は双葉町1件を受け入れている。また、感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づく事業(県内では宮城県立がんセンターと2ヵ所のみ)として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん健診(がん検診推進事業)を受け入れている(精密検査対応として乳腺MRI用マンモコイルを設置)。2019年度は新たに国の風疹追加対策の風疹の抗体検査62件、予防接種13件を実施している。

長町病院は、一般健診、協会けんぽ生活習慣病予防健診、仙台市特定健診及び特定保健指導、自治体が実施する肝炎ウイルス健診、HB肝炎訴訟健診、大腸がん健診、前立腺がん健診、宮城県の被爆者健診37件を行っている。委託を受けた福島県から避難している住民の甲状腺エコー健診は、双葉町10件となっている。保育所委託健診を2ヶ所行っている。

仙台錦町診療所は、協会けんぽ生活習慣病予防健診、仙台市特定健診、事業者が行う定期健診、雇入時の健診、海外派遣労働者の健診、特定業務従事者の健診(夜勤者健診)、特殊健診(有機溶剤健診、石綿健診、電離放射線健診、じん肺健診)、健康管理手帳による健診、腰痛健診、振動業務健診、手話通訳者健診として、所内健診で2,000件、巡回健診で7,600件を実施している。中新田民主医院は産業医として、労働者の指導や腰椎健診、健康管理を行っている。また、各診療所では、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなど主に高齢者向けの予防接種事業を実施している。古川民主病院附属歯科と長町病院附属歯科クリニックは、県歯科医師会の成人歯科検診34名、後期高齢者歯科検診数として14名を受け入れている。

健康診断受診数(延べ:件)
  法人合計
職域健康診断
(雇入・定期等)
18,860
特殊健診
(有機・石綿等)
720
行政指導健診
(VTD・腰痛等)
415
特殊健診
(自治体等)
2,516
がん検診
(大腸・乳等)
18,012
人間ドック
(脳ドック含む)
940
4)研修及び研究事業

東北大学をはじめ全国の大学や専門学校から、医師、薬剤師、看護師、リハビリテーションなどの医学系学生の実習を受け入れている。また、各施設では、医師・看護師など医療職を目指す高校生などの体験学習も受入れている。

長町病院、泉病院、古川民主病院は、協力型臨床研修病院として初期研修医、みちのく総合診療医学センター(日本プライマリ・ケア連合学会認定プログラム)からの後期研修医、東北大学病院の協力型臨床研修指定病院としての地域医療研修を受け入れている。

古川民主病院附属歯科では、東北大学病院歯科医師臨床研修プログラム協力型施設として初期研修医1名を受け入れている。

看護学校臨地実習は、2病院6ケアステーションで年間通して受け入れ。学校種別は大学3校、3年制専門学校4校、その他(通信・准看・高校看護専攻(6年制)等)4校となっている。看護学科の成人・老年・小児・産科・統合・在宅の各臨地実習を受けており、学生への学習指導を行っている。県内では産科・小児科の入院施設が少なく、現在の実習校以外からも実習要請多く受け入れきれない状況である。訪問看護・介護分野では、宮城大学、東北福祉大学、仙台徳州会看護専門学校、宮城県白石高等学校、大崎市医師会附看護学校より看護学生の実習を全ケアステーションで87名を受け入れている。多職種連携の実際、リハセラピストとの同行等、多職種が1ヶ所にそろっているステーションだからこその指導が好評を得ている。訪問介護においては宮城県介護労働安定センターからの実習依頼も受けている。

高校生看護師体験では、夏休みや冬休みを中心に受け付けているが、応募が年々増加傾向にあり予約枠に入りきれずお断りが多くなっている。看護師の仕事体験や進学説明を通して、看護師・助産師への進路決定の一助となる内容で実施している。2019年度はインフルエンザ感染防止と新型コロナウイルス感染防止のため2019年12月から中止となり、43名(実施予定数の16%)が体験できていない。

臨床栄養学実習では、病院栄養士業務の実際を体験し学んで頂けるよう、プログラムを組んでいる。個別・集団栄養指導、各回診・カンファランス、栄養管理、給食管理等、幅広く実習し、実習期間が2週間の学生には、計画から実施までを指導者がサポートしながら集団栄養指導を実施している。

リハビリテーション科の臨床実習は殆どが県内7校(仙台市内)からの受け入れであり、県外は新潟県からの1校のみである。臨床実習の他、長町病院では養成校からの依頼でモンゴル国立医科大学3校の学長と看護学教授5名の見学を受け入れている。

社会福祉士では、受入れ医療機関が少なく複数名の受入れを強く要請されている。希望が通らず医療ではない分野で実習する学生もいるため、出来るだけ受け入れている。

職業体験 受入数  
医学部 88名 東北大学高次医学修練2名、
地域医療実習7名他
薬学部 1名 東北医科薬科大学臨床実務実習
看護学部 374名 学校数11校
リハビリテーション 21名 学校数8校
社会福祉士 6名 学校数2校
臨床栄養士 14名 学校数4校
歯科衛生士 10名 学校数3校
職業体験 受入数  
高校生医師体験 2名 学校数2校
高校生看護師体験 219名 学校数45校

坂総合病院は、院長が糖尿病代謝科東北大学医学部臨床教授、副院長は呼吸器内科の東北大学医学部臨床准教授、産婦人科・小児科診療部長は婦人科の東北大学医学部臨床教授を担っている、他、複数の医師が医療技術系専門学校の講師、地域の小学校での産婦人科医師による講演等を行っている。看護系に於いては、看護学校の要請を受け、非常勤講師として在宅看護論の講義を行っている。また、法人介護事業部の喀痰吸引3号研修は、2019年度は3名の基礎研修、52名の実地研修を受け入れている。

長町病院院長は、東北大学医学部臨床教授をはじめ大学などでの講義活動を行い、認知症看護認定看護師、認知症ケア専門士、リハビリ職員、健康運動指導士が地域で講演活動を行っている。

古川民主病院附属歯科は、所長が東北大学歯学部臨床教授を担っている。

訪問看護・介護分野では、2校の看護学校から要請を受け非常勤講師として在宅看護論の講義を担っている。宮城県介護支援専門員法定研修、宮城県高齢者権利擁護推進研修のサポーターや地域包括支援センターや行政の主催する虐待防止などの研修講師を随時行っている。その他、県連や他県連からの依頼で講師活動をしている。

5)訪問看護・介護、通所、在宅介護支援事業、障害者の医療・福祉事業

地域連携を重視した訪問看護・訪問介護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションを行っている。定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業は2ヶ所、高齢者生活援助事業や育児ヘルプサービスは1ヶ所で実施している。介護支援専門員は34名を配し、居宅介護支援事業所9ヶ所のうち5ヶ所が特定事業所となっている。ケアプラン数は、予防プランも含め1,000件/月以上となる。地域包括ケアの実現のため医療機関、介護事業所、自治体等と連携し多くの問題を抱えている方、医療的依存度の高い方、小児、精神疾患をもつ方、ターミナルケアなど幅広く対応している。1つのステーションの中に多職種がおり地域で求められている看護・介護の提供を迅速に丁寧に行うことで、訪問看護ではグループホーム、デイサービス等とも連携が広がっている。また、訪問介護では介護保険サービス以外に障害福祉サービスとして同行援護、居宅介護、重度訪問介護を実施し、喀痰吸引や経管栄養等の研修を経て積極的にサービス提供をしている。

坂総合病院は七ヶ浜町への総合支援事業として、地域で開催される運動教室に通えない方に対しての送迎や自宅訪問も行い、それぞれの身体機能に合わせて運動指導を18回開催している。

長町病院は、仙台市通所型短期集中予防サービス「元気応援教室」の指定を受け、延べ

175名が参加している。運動指導56回、口腔・栄養改善指導30回実施している。

仙台錦町診療所は、障害者自立支援施設への巡回健診を行っている。

通所リハビリ利用件数は、坂総合病院附属北部診療所では平均335件/月の利用者数となっているが、古川民主病院やくりこまクリニックは減少している。

6)住民との協力による健康増進事業

坂総合病院は、第41回みやぎ東部健康福祉友の会健康まつりを「地域をつなぐ、いのち・平和・そして健やかなくらし」をメインテーマに開催し、坂総合病院を会場に1,000名が集い、健康チェックや健康相談、医師による講演会、ちびっこ広場やこども薬剤師体験などを行っている。塩釜、多賀城の災害公営住宅での血圧測定や健康相談会は29回開催され、職員を含め413名が参加している。健康講演会は、嚥下障害や健康体操についてなど様々なテーマで11回開催し、277名が参加、青空健康相談会はスーパーの店頭などで13回278名が参加している。離島、浦戸諸島での健康相談は、70件を訪問し健康状態などの聞き取りを行っている。

長町病院の健康まつりには1,000名が集い、健康チェック(骨密度測定・握力測定・血圧、体脂肪測定・片足測定・食生活相談・物忘れ相談・健康相談)を延べ310名、青空健康相談会では太白区民まつりも含め6か所で実施し、147件の健康相談を受けている。地域のコミュニティセンターなどで実施する班会は194回1,374名が参加し、健康チェックと各種健康講話を実施している。「いきいき・ニコニコおたっしゃ講座」は、「転倒から寝たきりにならないために」をテーマに実施し61名が参加、「えがお講座」は「救急時の対応」をテーマに17名が参加している。健康づくりチャレンジでは20名がチャレンジしている。近隣の民家を借りて開設している「地域交流サロン」での活動も活発に行われ、「地域公開講座」は毎月開催され延べ173名が参加、「お茶っこ会」は毎週開催で延べ560名が参加、「こどもふらっと塾」も毎月開催され、学生ボランティア含め延べ77名が参加している。サークル活動への参加者は延べで5,000名に広がっている。

泉病院の健康相談会は3回の開催で延べ57名が参加し、健康まつりには約800名が参加している。また、地域ごとに班を構成しての班会は82回開催し、延べ592名参加している。夏休み病院探検は小学生12名が参加している。健康講演会は、新型コロナウイルス感染症のため中止となっている。

古川民主病院は、古川支部、遠田支部の2箇所で健康まつりを開催し、延べで1,500名が集っている。それぞれの健康まつりでは、放射能についての学習講演や「認知症の理解と生活目標」についての講演が行われている。また、各ブースには無料健康相談会、血圧測定、歯科相談、体力測定などが行われ健康啓蒙活動として好評を得ている。

中新田民主医院の健康まつりは、近隣の町からも含め400人が参加している。地元の小中学校の生徒や地域住民による演芸発表、健康講和、職員による健康相談、近隣薬局による服薬相談などを行っている。また、健康講話や加美町で年4回開催する「花楽市」には地域の方々と一緒に健康相談ブースを担い、血圧、体脂肪測定や健康相談会を行っている。

くりこまクリニックの健康まつりでも400人以上集い、地域から「待たれるまつり」になっている。健康まつりでは骨密度健診体験、頚動脈エコー体験健診、体脂肪測定などをおこない、参加者から大いに歓迎されている。地域の方々を対象とするサークル活動も活発であり、地域交流が盛んになっている。

仙台錦町診療所での健康まつりでは、100人が参加している。また、認知症サポーター講座として2回開催している。「囲碁」や「絵手紙」、「てづくり」などのサークル活動、毎月10名以上が参加する「お楽しみ会」などの活動を行っている。

歯科事業部では、「いい歯デー市民の集い」を他団体と共催し市民の口腔の健康相談を行っている。長町病院附属歯科クリニックは、「長町病院健康まつり」、古川民主病院歯科は、大崎市の各地で開催された健康まつりに参加し「お口の健康相談」を開催している。

坂総合病院附属北部診療所では、2回の青空健康相談会、運動療法士を講師に健康講演会を開催している。

7)総合的な社会保障確立のために

地域住民の健康権を守るため、4病院で社会福祉士等による医療生活相談援助に取り組んでいる。相談の約半数は退院支援業務となっている。以前から存在していた問題(認知症、精神疾患、虐待、セルフネグレクト、経済的問題、周囲からの孤立など)が医療につながることにより顕在化するケースが多くなっている。坂総合病院では、若年者(10~20代)や子育て世代の経済的相談も増えている。坂総合病院、長町病院では外国人への支援等、一医療機関だけでは解決できない困難ケースを他機関と連携しながら支援を行っている。各病院では身元保証人不在の患者を多数支援している。

社会福祉士等による相談件数(延べ:件)
  相談件数
法人合計 37,740
坂総合病院 15,329
長町病院 13,797
泉病院 4,577
古川民主病院 4,037

以上