2014年度

2014年度(平成26年度)事業報告

公益財団法人 宮城厚生協会は1950年2月21日に設立されて以降、設立趣意書に示される理念「医療事業は、社会の各人が健康であって、明るい生活を、その職場において家庭において営むことのできるようにする、いわば明日の労働を楽しくできることに仕向ける公益的性格をもつ組織活動であって、国民一般の福祉増進こそ唯一の目標とするものである」を礎に、その目標を達成するための事業を行っている。

事業概要

1)患者の立場にたつ診療事業

2014年度の外来取扱い患者数(延べ数)は463,967名、入院は220,362名である。救急医療では救急車搬入件数は総数で3,985件、とりわけ坂総合病院は3,010件の搬入となっている。坂総合病院は塩釜地区休日急患診療担当二次病院体制、古川民主病院は宮城県第二次救急医療施設として大崎市病院輪番制を担い、在宅療養支援病院(機能強化型)の施設基準を取得している。長町病院は、回復期リハビリテーション病棟の活用で、急性期後の社会復帰に貢献している。また、在宅療養支援病院(機能強化型)として、高齢者医療・在宅医療を支え、糖尿病をはじめとする慢性疾患医療を行っている。泉病院は脳血管系疾患急性期の診断と内科的治療、神経難病、認知症の診断、整形疾患も含めたリハビリテーション領域で社会復帰を支援している。また、各事業所もそれぞれ地域における医療・介護要求に応えた事業を展開している。

2)生活困窮者への無料・低額診療事業

当法人は、第二種社会福祉事業として社会福祉法第2条第3項9号に規定する「生活困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」(無料・低額診療制度)を、坂総合病院、長町病院、泉病院、古川民主病院、坂総合クリニック、坂総合病院附属北部診療所、くりこまクリニック、中新田民主医院の8事業所で実施している。2014年度の無料低額診療件数は32,439件となっている。

古川民主病院は、生活困窮者など経済的な理由など病院にかかれない方々に対しては、医療相談室を中心に定期的な面談等を行い、生活再建に向けた支援を行っている。2014年度の月平均相談件数は36.2名となっている。中新田民主医院の無料低額診療は4名である。くりこまクリニックの診療圏では、地域産業の中心であった第一次産業である農業・林業は衰退の一途であり、診療圏は活気を失っている。こうした状況下で2014年度の無料低額診療は前年度の倍の8人となり、延べ利用受診回数は87回と前年の2.2倍になっている。

長町病院附属歯科クリニックでは生活保護受給者の受診は年間473人、古川民主病院歯科での生活保護受給者の受診は年間583人となっている。

3)保健予防・健康管理事業

各事業所における健診活動とともに、振動病・軽頚腕障害・職業性腰痛、被爆者健診及び被爆者二世健診、アスベストによる健康障害やじん肺労働者、住民健診に取り組んでいる。

疾病予防事業では、厚生労働省認定の健康増進施設である坂総合クリニック内の「メディカルフィットネスのびのび」での運動療法は、登録会員数285名、延べ利用者数15,718名となっている。

坂総合病院では、育児健診417件、被爆者健診32件を受け入れている。また、感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づく事業(県内では宮城県立がんセンターと2ヵ所のみ)として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん健診(がん検診推進事業)を受け入れている。また、精密検査に応えるため乳腺MRI用マンモコイルを設置している。

長町病院は、宮城県の被爆者健診を56名受入れている。委託を受けた福島県から避難している住民の甲状腺エコー健診は、双葉町21件、浪江町2件となっている。また、一般健診、協会けんぽ健診、自治体が実施する肝炎ウイルス健診、大腸がん健診、前立腺がん健診の他、仙台市特定健診を1,116件、特定保健指導10件、仙台市乳幼児健診111件を実施している。

泉病院は、一般健診は2,421件となっている。協会けんぽ健診、仙台市住民健診や事業所健診の他、自治体脳ドック健診は100件を超えている。

福島第一原発事故被ばくの不安を抱える白石越河地域在住の児童等の甲状腺エコー健診は、3名の医師をはじめ19名の職員を派遣し31名が健診を受けている。

全国労働衛生団体連合会の総合精度管理調査参加施設として、臨床検査精度管理、胸部エックス線検査精度管理、鉛・有機溶剤に係る生体試料検査精度管理、鉛・有機溶剤に係る代謝物等の検査精度管理を継続して行っている。福島原発事故の作業に関わる労働者の電離放射線健康診断は法人全体で373人と前年より増えている(前年比121%)。保育及び介護に携わる労働者の腰痛健診を行い、腰痛防止対策の支援を行っている。

2015年3月に胸部エックス線検診車を更新している。エックス線画像の解像度が向上したことにより、これまで以上に疾病の早期発見、早期治療に繋げることが見込まれる。また、被ばく量の低減により受診者にとって安心かつ安全な医療を提供することができる。

長町病院附属歯科クリニック、古川民主病院歯科はともに県歯科医師会の成人歯科検診の登録医療機関となり健診患者を受け入れている。古川民主病院歯科では市内4箇所の保育園の園児の歯科健診を行っている。

古川民主病院では、全国健康保険協会生活習慣病予防健診実施機関・特定健康診査実施機関・特定保健指導実施機関、公益社団法人全国労働衛生団体連合会特定健康診査実施機関・特定保健指導実施機関として保健予防活動を行っており、地元企業と産業医契約を結び定期巡視を行っている。

4)研修及び研究事業

坂総合病院は、医学部実習カリキュラムの位置づけとして、東北大医学部から6年高次修練2名と5年次地域医療実習27名、慈恵医大医学部から4年次地域医療実習7名を受け入れている。東北薬科大から薬学生の臨床実務実習を4名受け入れている。看護学生見学では東北地方内から7名、看護実習は県内5校から167名受け入れている。また、高校生看護師1日体験を宮城県内23校から105名受入れている。その他、宮城学院大・尚絅学院大・東北生活文化大・仙台白百合女子大から栄養士の臨床栄養学実習13名、リハビリテーション分野では約20名受け入れている。他に社会福祉士分野、医事課分野の実習生も受入れている。また、院長は糖尿病代謝科、産婦人科長は婦人科の東北大学医学部臨床教授に任命されている。内科部長は呼吸器内科の東北大学医学部臨床准教授に任命されている。他にも、複数の医師が医療技術系専門学校の講師を担っている。

長町病院は、医師養成分野では、東北大学2年目研修医の地域医療研修として2名受け入れている。学生教育分野では、東北大学医学部5年次地域医療実習4名、1年次地域医療体験実習4名、看護分野は28名、リハビリテーション分野は養成学校6校から17名、社会福祉士1名、栄養士6名の学生実習を受け入れている。また、医師・看護師をめざす高校生などの職場体験も受け入れている。日本リハ医学会研修修練施設、糖尿病専門医教育関連施設の認定を取得している。医師による大学などでの講義活動、認知症看護認定看護師、摂食嚥下障害看護認定看護師、認知症ケア専門士、健康運動指導士が地域での講演活動を行っている。また、院長は東北大学医学部臨床教授に任命されている。

泉病院は、協力型臨床研修病院として9名の初期研修医を受け入れている。医学生実習を4名、看護学生見学2名の他、リハビリテーション10名、栄養士6名、社会福祉士2名の臨床実習を受け入れている。また、医学部を目指している高校生・予備校生の体験実習として40名を受け入れている。

古川民主病院は、協力型臨床研修病院として、また、みちのく総合診療医学センター(日本プライマ・ケア連合学会認定プログラム)の後期研修施設として登録し、プライマリ・ケアを目指す後期研修医を1名受け入れている。また、社会福祉士やリハビリテーション分野での学生実習や地元中高生の職場体験も受け入れている。

古川民主病院歯科では、県内の歯科衛生士養成機関(仙台医療福祉専門学校歯科衛生士学科)から6名の実習生を受け入れている。また、糖尿病患者教室において口腔ケアについて講話を行っている。歯科所長が東北大学歯学部臨床教授に、他の常勤医師が東北大学歯学部非常勤講師にそれぞれ任命されている。

5)訪問看護・介護、通所、在宅介護支援事業、障害者の医療・福祉事業

地域連携を重視した訪問看護・訪問介護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションを行っている。2014年10月にケアステーションつくしが定期巡回・随時対応型訪問介護看護の指定を受けサービスを開始している。介護支援専門員は65名を配し、医療機関・介護事業所・自治体と連携し、在宅看護・介護に取り組んでいる。人工呼吸器装着者や在宅酸素療法者、知的障害者などの困難事例も積極的に受け入れ、ターミナルの訪問看護や介護にも応えている。障害福祉サービス(障害児含む)は67名となっている。仙台市通所型特定高齢者事業の指定を受け、元気応援教室を開催している。

6)住民との協力による健康増進事業

くりこまクリニックは、年に1回開催される「健康まつり」は地域の会員、住民の方々が400人以上集い、地域から「待たれるまつり」になっている。健康まつりでは骨密度健診体験、頚動脈エコー体験健診、体脂肪測定などをおこない、参加者から大いに歓迎されている。

長町病院附属歯科クリニックは、「長町病院健康まつり」、古川民主病院歯科は、大崎健康福祉友の会の「古川」「遠田」「加美」の各支部の健康まつりに参加し「お口の健康相談」を行っている。また大崎市市民まつりの「古川まつり」では街頭にて青空健康相談会を医科との協力の下行っている。

泉病院は、医師による健康講演会を6回開催し299名が参加している。健康相談会を6回開催し延べ322名が参加している。健康増進を目的とした「健康まつり」を地域住民との協力で開催し約1,000名が参加しているまた、地域ごとに班を構成し班会を156回開始し延べ977名が参加している。夏休み子ども一日病院探検に小学生5~6年生が13名、認知症サポーター養成講座に19名、「放射能が身体に与える影響」の学習会に16名が参加している。

長町病院の健康まつりには1,100名が集い、健康チェックの他、肺活量、血糖値、骨密度、副流煙の測定を実施し地域から歓迎されている。七か所地域で青空健康相談会を10回実施し、210件の健康相談を受けている。地域のコミュニティセンターなどで実施する班会は89回を数え、健康チェックと各種健康講話を実施している。太白区中央市民センターを会場にした「いきいき・ニコニコおたっしゃ講座」は、「糖尿病について」をテーマとした4回シリーズには延べで67名が、「えがお講座」の「転倒予防のお話と実技」をテーマとした「気軽にできるストレッチ体操(理学療法士講師)」には27名が参加している。また、認知症認定看護師による医療講演会も開催している。

7)総合的な社会保障確立のために

地域住民の健康権を守るため、4病院で社会福祉士等による医療生活相談援助に取り組んでいる。法人全体での2014年度の相談延人数は30,525人となっている。

各事業所概要

坂総合病院

仙台二次医療圏内で北東に位置する拠点病院として、地域医療支援病院、宮城県災害拠点病院(地域災害医療センター)、救急指定病院、基幹型臨床研修指定病院の指定を受け、塩釜市、多賀城市、利府町、松島町、七ヶ浜町2市3町を診療圏として役割を果たしている。

救急医療では、塩釜地区休日急患診療担当二次病院として他の5つの病院と協力しながら中心的役割を果たすとともに、24時間365日急患を受け入れる病院として地域に根ざした医療を展開している。今年度の救急車搬入は年間3,010台、救急受入れ患者数は15,997名となっている。

地域医療支援病院としては、塩釜地域2市3町の歯科を除く医療機関101件中85件が登録医療機関であり、紹介率は74.07%、逆紹介率は112.85%となっている。紹介実数も2013年度5,020件から2014年度5,033件と増やしている。施設共同利用として登録医も対象としたカンファレンス・講演会は16回、BLS講習会4回、ICLS講習会3回開催している。登録医による手術室利用も3件となっている。また、看護師を対象とした地域開放型研修会を開催している。

医師会・看護協会・各技師会、各学会・研究会、小学校・中学校・高校・大学、各医療機関の要請に応え、医師・保健師・看護師(感染管理、認知症看護、皮膚・排泄ケア、救急看護の認定資格者含む)・診療放射線技師・健康運動指導士等を講師として派遣している。塩釜地区メディカルコントロール協議会委員を担い、今年度は救急救命士の認定研修を2名受け入れている。

感染症予防事業費等国庫負担(補助)金交付要綱に基づく事業(県内では宮城県立がんセンターと2ヵ所のみ)として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん検診(がん検診推進事業)を受け入れている。また、精密検査に応えるため乳腺MRI用マンモコイルを設置している。

災害拠点病院としては、災害実動訓練を4月に塩釜地区消防事務組合の救急隊及び仙台保健福祉事務所(塩釜保健所)や各行政にも協力をいただき実施している。災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team、DMAT)2隊を組織し東北ブロックDMAT参集訓練に参加している。また、塩釜市・多賀城市の委託事業として、仮設住宅入居者に「生活と健康援助」を目的に健康相談会(毎週一回)を開催している。

基幹型臨床研修指定病院として初期研修医1年目を11名、2年目8名を受け入れている。また、20学会の認定施設を取得し、後期研修医の受入れにも力を入れている。後期研修医は5名受け入れている。特に「みちのく総合診療医学センター」は総合医や家庭医の研修育成システムとして地域的にも要望が高く、県内で最初のプログラム認定を受け活動している。東北大学や気仙沼市・石巻市などの診療所などとも連携し、地域医療を担う医師養成に取り組んでいる。今年度は当院で最初に後期研修した2名の医師が家庭医専門医の認定に合格している。

長町病院

太白区・若林区では回復期リハビリテーション病棟を持つ唯一の医療機関として、脳卒中および大腿骨頸部骨折地域連携パスに参加するなど連携を重視している。同病棟は、新入院患者(年間369名)はそのほとんどが他医療機関からの紹介により運営されている。地域包括ケア病床として12床取得している。糖尿病診療で糖尿病専門医と糖尿病療養指導士が配置され、教育プログラムを持ち、栄養指導や運動療法などを実施できる医療機関は太白区では2ヶ所(宮城県地域医療計画5疾病に関する医療体制H25.4)であり、そのひとつを担っている。入院医療では治療及び教育・指導、外来では糖尿病教室など生活指導を重視して力を入れている。糖尿病管理患者は1,500名となっている。禁煙外来、無呼吸症候群検査も実施している。小児科は休日輪番に参加し、乳児健診・予防接種に対応している。

在宅・介護分野では、在宅療養支援病院(機能強化型)の施設基準を取得している。行政と連携し「長町・郡山在宅ケア連絡会」を構成し、長町病院がその代表を担い、在宅医療および介護分野に関する職種の情報交換と研修を4回開催(太白区全体エリア1回含む)し、3つの地域包括支援センターと連携している。また仙台市通所型介護予防事業の指定を受け、元気応援教室を開催している。居宅介護支援事業所に主任ケケアマネジャー4名を配置し、地域包括支援センターや医療機関医師からの困難事例を受け入れている。12月には、生活保護の方も入居できる住宅型有料老人ホームはなみずきを開所している。

東日本大震災後2012年6月から「あすと長町仮設住宅自治会」から申出を受け、「あすと長町仮設住宅生活支援プロジェクト」を設置し、医療・健康・生活相談活動を毎月開催している。復興住宅への移住がすすんでいるが、健康相談会を継続している。

医師養成分野では、東北大学2年目研修医の地域医療研修として2名受け入れている。日本リハ医学会研修修練施設、糖尿病専門医教育関連施設の認定を取得している。医師による大学などでの講義活動、認知症看護認定看護師、摂食嚥下障害看護認定看護師、認知症ケア専門士、健康運動指導士が地域での講演活動を行っている。

学生教育分野では、東北大学医学部5年次地域医療実習4名、1年次地域医療体験実習4名を受け入れている。看護部は、28名の看護学生実習を受け入れている。リハビリテーション分野では養成学校6校から17名受け入れている。社会福祉士1名、栄養士6名の学生実習を受け入れている。医師・看護師をめざす高校生などの職場体験も受け入れている。

泉病院

脳卒中診療ではt-PAをはじめとする急性期脳卒中診療から回復期リハビリテーション、介護保険事業を含めた維持期リハビリテーションを地域に提供している。頭痛、めまい、しびれ等の脳神経疾患のプライマリ・ケアを地域の中で担っている。二次救急医療機関として仙台市北部地域を中心に救急を受け入れるとともに、夜間・休日診療も行っている。救急車搬入の7割が夜間休日の受け入れ困難事例となっている。脳血管疾患につながる循環器疾患、糖尿病についても専門外来で診療を行っている。

在宅診療では、在宅療養支援病院(機能強化型))の施設基準を取得し、70名の在宅療養患者を管理し急性増悪にも対応している。

医療連携は、地域連携室を窓口に医療ソーシャルワーカーが対応している。脳卒中地域連携ネットワークに参加し、回復期リハビリテーション病棟に急性期病院から患者さんを受け入れている。

介護事業では、介護支援センターを設置しケアマネージャーを配置し、地域包括支援センター、ケアステーション、介護施設などと連携し、地域で生活する人々の介護支援を行っている。

健診分野では、協会けんぽ生活習慣病予防健診実施機関、特定健康診査実施機関として保険予防活動を行っている。また、自治体脳ドック健診の受け入れも行っている。

疾患予防では、健康増進活動を重視し、医師による認知症や神経難病に関する講演会、保健講座、健康相談会、健康まつりを開催している。

医師養成では、脳卒中学会教育施設、神経内科准教育関連施設の認定を受け、専門医を目指す医師を受け入れている。また、地域プライマリ・ケアを重点としたプログラムで協力型臨床研修病院として研修医を常時2~3名受け入れている。学生実習としては、リハビリ、社会福祉士、管理栄養士を受け入れ医師・看護師を目指す高校生等の職場体験も受け入れている。

古川民主病院

在宅医療に重点を置き、患者が長く住み慣れた自宅・地域で過ごせるように地域の医療機関及び訪問看護ステーション等との連携を取り、自宅や施設への訪問診療・終末期医療への取り組みを行っている。宮城県の子育て支援に関する事業では、発育・発達相談に小児科医師の派遣を行い、救急告示病院として大崎市の夜間救急輪番制当番にも加わり、時間外の診療にも積極に関わっている。

県北唯一の障害者施設等入院施設として、医療度の高い遷延性意識障害者、重度の障害者・肢体不自由者を大崎医療圏以外からも受け入れている。介護療養型医療施設として41床を運用している。長期療養施設への要望が強く、常時入所待機状態となっている。また、介護する家族が社会通念上緊急的やむを得ない理由により、要支援高齢者の介護が出来なくなった場合に、一時的に受け入れる大崎市家族介護支援レスパイト事業にも取り組んでいる。

健康増進活動としての健康学習会並び青空健康相談会は、年間113回開催している。

診療所群
くりこまクリニック

栗原地域でじん肺患者の対応を行う唯一の医療機関として、100名以上の患者を管理している。過去に粉塵職場で働いていた方の要望に答え「じん肺相談会」を開催している。また、高校を含め4事業所の産業医を行うとともに、小・中学校の校医を担っている。

中新田民主医院

人口減少地域にあり、往診は山形県境まで広範囲に及び、在宅ターミナルにも取り組んでいる。地域の状況を考慮し、慢性疾患を中心に、内科も外科も診療できる診療所として地域に根ざした医療を展開している。また、1973年から地域で血圧測定会や健康相談会を開催し、地域住民の健康増進運動に継続して取り組んでいる。また、中小企業の産業医、町立小学校校医も担っている。通所リハビリテーションを併設し、医療・介護の複合的事業を行うことで、高齢者の在宅療養をサポートしている。

仙台錦町診療所

法人の産業医学センターを併設して労働者・中小自営業者等労働衛生分野における医療活動・健診活動を展開し、産業衛生分野に積極的に関わると共に産業医科大学の指定研修医療機関に指定され10事業所の産業医を担っている。

生活習慣病(糖尿病、高血圧等)の慢性疾患管理や呼吸器系疾患等の診療を行うとともに、産業医として頸肩腕障害・腰痛・じん肺・振動障害等職業起因性疾患患者を多く診療を行っている。患者・地域住民を対象にした「保健講座」の開催、仙台市青葉ブロック在宅当番医会の協力医として休日当番診療を担っている。保健予防事業としては、一般健康診断の他に、けいわん・腰痛健診、じん肺健診、石綿アスベスト健診、手話通訳者健診などにも取り組んでいる。また、医師・弁護士・ケースワーカーによる過労死・過労自死110番の相談活動やアスベスト被害相談会の実施に取り組んでいる。

若林クリニック

若林区六郷地区にあって、震災に伴う被災者が多い地域である。糖尿病も含めた内科診療に取り組むとともに、保健予防活動として、特定健診・基礎健診(仙台市市民健診等)に積極的に取り組んでいる。また、地域住民の健康を守る立場から「健康まつり」の開催や健康相談会での骨密度測定、定期的な尿検査、血圧測定、健康講話等を開催している。

坂総合病院附属北部診療所

坂総合病院と連携し月2回糖尿病専門外来を行い、190名の糖尿病患者を管理している。在宅管理患者は50名で、塩釜市北部、利府町、七ヶ浜町に訪問診療を行っている。併設している通所リハビリテーションや近隣の訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、調剤薬局とも連携し、居宅介護支援を含む合同のカンファランスを行いながら、医療・介護の総合的な在宅管理を行い、高齢者の在宅療養をサポートしている。また、地域住民を対象に健康講和会を2回開催し、70名が参加している。塩釜市の仮設住宅での健康相談会、みやぎ生協杉の入り店での「あおぞら血圧測定会」も行っている。

坂総合クリニック内にあるメディカルフィットネスのびのび

厚生労働省認定の健康増進施設及び指定運動療法施設として地域住民の健康増進に努めている。健康運動指導士が仮設入居者を対象とした健康教室(集団指導)を県の援助(戦災復興基金事業)を受け、地方自治体の協力も受けながら行っている。

長町病院内にあるメディカルフィットネスのびのびながまち

仙台市から委託を受け「通所型介護予防事業(元気応援教室)」を実施している。

歯科群

訪問歯科診療を重視し、地域医療機関・介護機関との連携を進め、歯科医療機関に通院できない住民の口腔状態の改善に取り組んでいる。学校保健安全 法第24条に基づき、学校病医療券を活用している小中学校児童の歯科治療を受け入れている。また、古川民主病院附属歯科クリニックは無料・低額診療事業も 行っている。

長町病院附属歯科クリニックは、生活保護法受給者等の歯科診療に取り組むとともに、訪問歯科診療は地域医療機関と連携しながら、X線撮影装置、切削器具を携行し、診療室に近い装備で行っている。介護度の高い方へも定期的な口腔ケアを実施している。また、仙台市通所型特定高齢者事業に歯科衛生士を派遣している。地域での健康増進活動として「長町病院健康まつり」に参加し「お口の健康相談」を行っている。

古川民主病院附属歯科クリニックは、大崎歯科医師会休日診療当番に参加している。医科歯科連携では、大崎地域開業医より外科系を中心に年間80件を超える紹介を受けている。宮城県病院歯科連絡会に参加し、県内の病院歯科間の連携、病院歯科と診療所歯科間の連携を維持強化する取り組みを行っている。宮城県 立古川支援学校の学校歯科医として、障害児・生徒の歯科診療及び口腔健康管理を行っている。歯科医師臨床研修管理型施設を取得し(県内施設は3ヶ所)、入 院機能を持つ研修施設として整備している。平成28年度からは東北大学歯学部の協力型施設としても登録を行っている。歯科衛生士養成として養成機関から実習生を受け入れている。

介護事業、ケアステーション

介護事業は、医療と介護を連携させるとともに、患者さん・利用者さんに寄り添いながら、総合性と継続性、無差別、民主制、人権を守る立場で事業を行っている。特に、医療機関と連携し重症者、低所得者を中心に様々な困難を抱える利用者への支援を行ってきている。2014年10月に訪問看護ステーションとヘルパーステーションを7事業所に再編し、全て事業所に看護師と訪問介護員を配置している。多職種共働の取り組みにより、利用者にとってワンストップで必要なサービスが受けられるよう、ケアマネージャーやセラピストの配置も進めている。退院後に医療的処置を必要とする方は増加傾向にある。専門職による療養環境つくりも含め、患者・家族が安心して療養できるようサービスを提供している。

ガン末期患者は病状によって急遽退院が決まることが多く、退院日から訪問が行えるよう主治医や医療機関と連携を強めている。本人・家族の要望を尊重することで、住み慣れた家で穏やかに看取る事例が増えている。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は自ら体を動かすことが出来ず、さらに生命維持である人工呼吸器を装着している。頻回な吸引や体位交換を意思疎通が困難な患者の様子を見ながら、安全なサービスを看護師・ヘルパー・セラピストの連携で行っている。また、重度の乳幼児への訪問依頼も増えており、多職種連携により母親にかかる負担の軽減に努めながらケアを行っている。法人以外の病院・地域開業医からの依頼者は312名で全利用者の43%となる。24時間365日の緊急時対応を行っている。精神疾患による医療保護入院患者について、退院後の生活支援も含め対応を行っている。

医学生・看護学生の臨地実習施設として、宮城大学、東北福祉大学、宮城県立白石高校のほか、短大・専門学校より実習を受け入れている。また、職員研修として看護師・ヘルパーに対し、個人毎の年間計画に基づき毎月研修を行っている。さらに常勤者については年1回外部研修を受講させている。

以上