事業計画

2026年度(令和8年度)宮城厚生協会 事業計画

2026年4月~2027年3月

はじめに

当法人は「無差別・平等」の設立理念のもと、地域住民のいのちと暮らしを守る事業に取り組み、日本国憲法が定める平和・人権・民主主義が守られ、安心して暮らし続けられる地域をつくるため、公益財団法人として役割を果たします。

いのちを守る事業を営む法人として

ロシアによるウクライナ侵略から4年が経過しました。ウクライナでは、難民となった国民が人口の2割を超え、死者1万人以上、負傷者は3万人以上に達しています。侵攻から2年が経ったパレスチナ・ガザ地区では、イスラエルの暴力により一般市民を含む7万人のパレスチナ人が命を奪われ、深刻な飢餓が広がっています。国際ルールに基づく、一刻も早い停戦と和平の実現を願わずにはいられません。

2024年の国民生活基礎調査では、生活が「苦しい」と回答した世帯が58.9%にのぼりました。「高齢者世帯」は55.8%、「児童のいる世帯」は64.3%とされ、高齢者も子育て世代も生活の困難に直面していることが明らかです。東日本大震災から15年が経過した現在、復興が進み国の交付金が縮小しています。その中で、災害公営住宅における孤独死は依然として高止まりしており、宮城県では3年連続で50人を超える可能性があると報じられています。コミュニティ形成の難しさや、高齢化による孤立が課題として指摘されています。

無料低額診療事業を始め、住民のいのちと暮らしを守る事業を積極的に進め、誰もが必要な医療や 介護にアクセスできる環境を整えることが、当法人に求められる重要な役割です。

Ⅰ.事業経営をめぐる環境認識

医療と介護の経営環境は、依然として厳しい状況が続いています。

日本医師会が実施した「令和7年度病院の緊急経営調査」では、医業利益が赤字の病院は69.5%、経常利益が赤字の病院は62.2にのぼりました。急激な物価高騰と人件費上昇により、医業費用の伸びが医業収益の伸びを上回り、経営悪化が深刻化しているとしています。地域医療の崩壊を防ぐため、補助金の拡充や期中改定、コスト増に見合った診療報酬の評価、入院料の手当てを緊急に実施し、「医療機関の経営安定化」を図るよう国に強く求めました。

こうした要請や世論の高まりを受けて、国は、2025年度補正予算で「医療・介護等支援パッケージ」と「重点支援地方交付金」を措置し、2026年度診療報酬改定では本体改定率3.09%を決定しました。

介護分野では、2025年の介護事業者の倒産が176に達し、2年連続で過去最多を更新しました。特に「訪問介護」が91件と突出しています。低すぎる介護報酬に加え、物価高騰の影響が大きいと指摘されています。

公益財団法人として、医療・介護事業を継続できる報酬制度を求めつつ、地域から求められる医療と介護ニーズに確実に応えていくことが求められています。そのためにも、経営実態を正確に把握し、改善すべき課題を明確にしながら、全事業所・全職員が一体となって「危機的状況」を乗り越えなければなりません。

Ⅱ. 2026年度事業計画

宮城厚生協会は公益認定法人として、公益事業の推進に取り組むとともに、経営の透明性と健全性を確保し、社会的役割の発揮に全力を尽くします。

日本国憲法の理念を掲げ、すべての人が等しく尊重される社会の実現をめざし、これまでの歩みを発展させながら、人権が大切にされる社会を目指します。また、地域住民をはじめとする多くの人々と力を合わせ、貧困と格差の深刻化や少子高齢社会がもたらす課題に真正面から向き合います。日常の医療・介護の実践や社会保障の充実を求めつつ、地域の人々の健康と生活を支える事業活動を進めます。

泉病院は、2025年5月3日にリニューアルオープンしました。新たな療養環境を活かし、「人を支え、人を育て、人と共に歩く」病院として、地域における役割を一層果たしていきます。中新田民主医院は、1970年に前身となる横山医院が開設されて以降、長年にわたり地域医療で大きな役割を果たしてきましたが、事業継続が困難となり2026年3月31日をもって閉院しました。

  1. 患者の立場にたつ診療事業、無料低額診療事業
    • 坂総合病院は地域医療支援病院として、入院を中心とした救急・専門医療を充実させるとともに、新興感染症(新型コロナウイルス等)を含む5疾患6事業に取り組みます。行政機関事業に取り組みます。行政機関や地域の医療機関・介護施設等との連携を重視します。坂総合クリニックの宮城県認知症疾患医療センターは、その役割を担います。
    • 各病院・診療所は、地域における医療・介護の連携を重視し、規模や地域の医療環境に応じた外来機能・入院機能・介護事業を展開します。従来の感染症に加え、新興感染症への対応も含め、地域から求められる役割を果たします。
    • 高齢者入居施設「はなみずき」は、低所得者や在宅医療を必要とする方も入居できるホームとして、切実な地域需要に応えます。介護医療院は、家族による在宅介護が困難な方の療養を支えます。
    • 第二種社会福祉事業として、無料低額診療事業を重視します。
    • 「医療相談」「生活相談」「介護相談」に積極的に取り組みます。
    • 自然災害での医療支援・救援活動に取り組みます。
  2. 保健予防・集団的健康管理事業
    • 「協会けんぽ」健診事業の充実をはじめ、専門性を生かした特定健診・保健予防活動を重視します。疾病予防事業としての運動療法、労働安全衛生法に基づく産業医活動に取り組みます。
    • 振動病・頚肩腕障害・職業性腰痛、被爆者健診及び被爆二世健診、アスベストによる健康障害やじん肺に関する健康相談等、労働者・住民の健康問題に取り組みます。
  3. 医療従事者の研修教育、医学・看護学等の研究事業
    • 東北大学と東北医科薬科大学との連携による、医師・薬剤師養成、みちのく総合診療医学センターにおける家庭医・総合診療医養成に取り組み、地域医療を担う医師・薬剤師を育てます。
    • 専門研修のため国内外の大学・研究機関への研修派遣を行い、地域医療に貢献します。
    • 救急医療・地域連携をテーマとしたの地域開放型研修会の開催、救急救命士の認定研修、認知症対応能力の向上を目的とした研修会等、多様な研修事業を実施します。
    • 医師・薬剤師・看護師・リハビリ職・社会福祉士・管理栄養士・歯科衛生士等、医療・介護系学生の研修・実習を積極的に受け入れ、育成に取り組みます。
  4. 訪問看護・介護、通所、在宅介護支援事業、障害者の医療・福祉事業
    • 多職種が連携し、要介護高齢者および障害者の生活と療養を支えます。
    • 悪性疾患への対応、障害児・重度の乳幼児への訪問、ケアステーションを核とした在宅看取りへの対応など、在宅での療養と介護を支えます。
    • 医療度の高い遷延性意識障害者や重度障害者の療養を支えます。
    • 24時間定期巡回・随時対応サービスをはじめとする在宅サービス強化や、リハビリテーションなど自立支援型サービスに対応できる人材の計画的な育成を行います。
  5. 地域住民との協力による健康増進事業
    • 地域住民の健康権を守るため、社会福祉士などによる医療相談・生活援助に取り組みます。
    • 県内に避難している福島第一原発事故被曝者等の健診をはじめ、被災住民を対象とした健診や相談会に取り組みます。
  6. 総合的な社会保障制度確立に関する事業
    • 地域住民の健康権を守るため、社会福祉士などによる医療相談や生活援助に取り組みます。
    • 社会保障制度が適切に活用されるよう、医療・介護現場での気づきを大切にし、制度改善に向けた援助に取り組みます。
以上