事業報告

2022年度(令和4年度)事業報告

2022年4月~2023年3月

当法人は、「無差別・平等」の視点で医療・介護・保健福祉事業を行っている。2020年度に定めた法人中長期計画では、これまでの「無差別・平等」の考え方をより一層浸透させるため理念を見直し、その医療行為や介護サービスが患者・利用者にとって理念に沿うものであるかを判断できるようにしている。

2022年度は、新型コロナウイルス感染症が確認されてから最も厳しい環境下での事業運営であった。

事業概要

1)患者の立場にたつ診療事業

坂総合病院は、塩釜地区休日急患診療担当二次病院施設として地域の輪番制を担っている。地域医療支援病院として、主に塩釜市、多賀城市、利府町、松島町、七ヶ浜町の二市三町にある病院、クリニック、施設等との入院を中心に連携強化に取り組んでいる。

坂総合クリニックは複数の診療科を持つ総合クリニックである。坂総合病院との連携だけでなく地域の開業医との連携を積極的に進めており、地域の方々が安心して受診出来るように取り組んでいる。また、当クリニックは宮城県認知症疾患医療センターの指定を受け、認知症の診断鑑別を行うと共に相談業務の充実と開業医との連携を重視して診療にあたっている。

長町病院は、回復期リハビリテーション病棟および地域包括ケア病床の活用で、急性期治療後の患者を受け入れ社会復帰に貢献している。外来では糖尿病をはじめとする慢性疾患医療、健診等の保健予防事業に積極的に取り組み、在宅療養支援病院(機能強化型)として高齢者医療と在宅医療を支えている。介護分野では通所や訪問でのリハビリテーション、「有料老人ホームはなみずき」を運営し療養や生活をサポートしている。

泉病院は宮城県第二次救急医療を担い、脳血管系疾患の診断と内科的治療、神経難病の診断とリハビリ、認知症の診断、整形疾患も含めリハビリテーション領域で社会復帰を支援している。

古川民主病院も宮城県第二次救急医療施設として救急医療を担っている。一般内科を外来診療の主とし「かかりつけ医機能」として生活習慣病の管理や在宅医療を行っている。入院医療では地域包括ケア病床とともに介護医療院を併設し、地域の高齢者・要介護者の増加に対応した一体的な医療と介護を提供している。

2022年度外来及び入院数(延べ数: 人 )
  外来患者数 入院患者数
法人総合計 367,128 190,201
※ 古川民主病院の入院患者数には介護医療院入所者13,858人含む
坂総合病院 53,481 95,755
長町病院 36,782 43,638
古川民主病院 35,725 25,440
泉病院 33,759 25,368
診療所群 167,517  
歯科群 39,864  
2)生活困窮者への無料・低額診療事業

当法人は、第二種社会福祉事業として社会福祉法第2条第3項9号に規定する「生活困難者のために、無料又は低額料金で診療を行う事業(無料低額診療制度)」を8事業所で行っている。

坂総合病院と坂総合クリニックでは全体の7割近くが60代・70代の患者となっており、この特徴は依然続いている。年金のみで生活を成り立たせ、かつ医療費を負担する厳しさの現れと思われる。例年同様に慢性疾患やがん患者の申請が多く、治療や投薬を中断することで病状悪化や命に関わる症例がみられ、無料低額診療が受療の一助になっている背景がある。また、保険種別では国民健康保険加入者が多く全体の半数を占める。コロナ禍の影響に加え、物価高による仕入れ値高騰が収益減となり、経済的に困窮している自営業者も増えているのが特徴の一つである。世帯別でみると独居の高齢者が多いが、未成年者がいる世帯も1割となっており今後も注視していく必要がある。無料低額診療制度の周知として、病院ホームページや広報誌への掲載、地域包括支援センターや社会福祉協議会、自立支援相談窓口等にもチラシを配布している。

長町病院では例年同様に慢性疾患患者の申請が多い。また、国民健康保険加入者で単身世帯の利用者が多いのも特徴である。申請者の中には国保料を納めることができていない方、区役所からの紹介や掲示を見て相談に訪れる患者もみられる。2022年度は無料低額診療チームを立ち上げ、精力的に活動している。患者向けのアンケートを実施し、寄せられた意見を参考に職員向け学習会や広報活動に取り組んでいる。太白区区役所、若林区区役所、地域包括支援センター、県南地域の自立支援相談窓口、地域の小学校へも訪問するなど広報地域を広げている。

泉病院の無料低額診療申請者の96%が国民健康保険者と後期高齢者であった。また半数近くが生活保護基準以下の世帯収入である。昨年末からは新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方向けの新型コロナウイルス感染症特別貸付の返済相談が相次いでいる。また、泉区役所や地域包括支援センターからの相談の中には、経済的な問題で受診できず、動けなくなってはじめて支援を求めたという生命に直結するようなケースも複数認められた。低所得者や経済的困窮者でも必要な医療を受けられるよう、泉区区役所、社会福祉協議会、地域包括支援センター、町内会長、民生委員、介護事業所の集う場で広報を行っている。

古川民主病院では無料低額診療の申請者数が増加し過去最多となった。入院時の初回面接で経済状況を聞き取り、院内の歯科や在宅室で連携を強化したことが増加につながっている。半数以上が新規申請であり、年齢層別では稼働年齢層(15歳~64歳)が3割以上を占め、精神疾患・障害等により就業に定着できない方、家族から孤立し援助を受けられない方などが見られる。高齢者層では低年金者が多く無保険者もみられた。無料低額診療制度の周知としては、ホームページへの掲載、地域包括支援センター、自立相談支援窓口、居宅介護支援事業所、大崎市田尻支所、涌谷町役場、町民医療福祉センターなどの窓口にチラシを設置いただいている。他、他医療機関には空床情報とともに案内を行っている。

坂総合病院附属北部診療所では外来窓口および在宅往診にて、口頭または広報紙で案内を行っている。経済的困難を抱えていると思われる受診者や介護サービス利用者に声をかけ、制度に該当する方を坂総合病院相談室へ紹介している。

くりこまクリニックでの申請者は、ほとんどが定年金収入者や生活保護基準以下の所得世帯者である。広報として地元自治体にも案内を行っている。

中新田民主医院でも外来待合室への掲示や診療所たよりで広報を行っている。また、古川民主病院と共同で診療圏の自治体窓口に無料低額診療制度のチラシを設置いただいている。古川民主病院の歯科を受診する患者には意識的に声掛けを行っている。

2022年度無料低額診療患者延べ数
事業所名 件数
法人合計 40,842
坂総合病院 18,365
長町病院 8,100
古川民主病院 2,835
泉病院 3,319
診療所群 8,223
3)保健予防・健康管理事業

健診活動とともに各種健診を実施し疾病予防事業を行っている。

坂総合病院は、一般健診、協会けんぽ生活習慣病予防健診、自治体の子宮癌検診、脳検診、育児健診等を受け入れている。また、感染症予防事業費等国庫負担金交付要綱に基づく事業として、塩釜地域2市3町の自治体乳がん健診(がん検診推進事業)を行っている。国の風疹追加対策の風疹抗体検査や予防接種、石綿・じん肺健康管理手帳や被爆者健康手帳所持者の健診も行っている。新型コロナウイルス感染症の対応では、感染管理認定看護師が宮城県長寿社会政策課運営指導班に協力し、介護事業者、有料老人ホーム、高齢者施設へ訪問し、勉強会、施設内ラウンド、ゾーニングやPPE(個人用防護具)の指導を行っている。また、看護協会専門看護師派遣事業活動として、障害者施設、保育所、介護老人保健施設および特別養護老人ホームの勉強会、ラウンド、ゾーニング、マニュアルの作成支援を行っている。助産師学校での講師活動として、利府中学校、しらかし台中学校で「性教育保健講話」の講師を、七ヶ浜中学校PTA行事として「性教育講座」の講師を担っている。

長町病院は、一般健診、定期健診、協会けんぽ生活習慣病予防健診、被扶養者特定健診、仙台市特定基礎健診および特定保健指導、仙台市肝炎ウイルス健診、HB肝炎訴訟検診、大腸がん検診、前立腺がん検診を行っている。健診問合せシステムをホームページに取り入れたことにより健診件数が年々増加している。また、宮城県被爆者健診として23件、小児科健診では3保育園の受託を受け232名を実施し、福島県双葉町と浪江町より委託を受け2件の住民甲状腺エコー健診を行っている。メディカルフィットネスのびのびながまちは、新型コロナウイルス感染症対策として完全予約制で人数及び回数を制限し実施している。登録会員数は39名、延べ利用者数は2,216名である。

古川民主病院は新型コロナウイルス感染症により健診事業を一時休止したが、2022年度は感染対策を行いながら事業所健診や個人健診を受け入れている。

泉病院は一般健診、電離放射線健診、協会けんぽ生活習慣病予防健診、仙台市特定・基礎健診を受け入れ、単独のがん検診では大腸がん健診、前立腺がん健診を行っている。また、脳健診も実施し、当院独自のスタンダード脳ドック・プレミアム脳ドック(脳卒中予防、または認知機能予防)の他、4自治体から脳検診を委託し、更にIT活用によるWeb完全完結型脳ドック(スマート脳ドック)を開始している。

若林クリニックは仙台市の基礎健診・特定健診、事業者が行う定期健診・雇入時健診を行っている。また、仙台市介護予防・日常生活支援総合事業に参加し、通所型短期集中予防サービス(元気応援教室)を行っている。要支援1・2の認定を受けた地域住民、豊齢力(基本)チェックリスト該当者のうち、介護予防ケアマネジメントの結果やプログラム参加による身体機能及び生活行為の改善が見込めると判断した地域住民に対する講話、転倒予防や足腰の筋力保持増進として自宅でも出来る運動や体操等を指導し、生活機能の改善・向上に取り組んでいる。

仙台錦町診療所は協会けんぽ生活習慣病予防健診及び特定健診、仙台市基礎及び特定健診、事業者が行う法定定期健診、雇入時健診、海外派遣労働者健診、特定業務従事者健診(夜勤者健診)、特殊健診(有機溶剤健診、石綿健診、電離放射線健診、じん肺健診)、腰痛健診などの所内健診と健診バスによる巡回健診を行っている。

歯科事業部では妊婦検診、宮城県歯科医師会成人歯科検診と後期高齢者歯科検診を古川民主病院歯科と長町病院附属歯科クリニックで行っている。

2022年度健康診断受検数(延べ)
医科(単位: 件)
健診項目 法人合計
職域健康診断
(雇入・定期等)
17,850
特殊健診
(有機・石綿等)
763
行政指導健診
(VTD・腰痛等)
537
特殊健診
(自治体等)
2,675
人間ドック
(脳ドック含む)
957
がん検診
(大腸・乳等)
20,515
仙台市基礎健診 944
歯科事業部(単位: 件)
  古川民主病院歯科 長町病院付属歯科
成人検診数 26 9
後期高齢者検診数 23 10
妊婦健診数 14 1
4)研修及び研究事業

坂総合病院は、東北大学病院の協力型臨床研修指定病院としての地域医療研修施設である。長町病院、泉病院、古川民主病院は、坂総合病院の協力型臨床研修病院として初期研修医とみちのく総合診療医学センター(日本プライマリ・ケア連合学会認定プログラム)からの後期研修医を受け入れている。古川民主病院歯科は、東北大学病院歯科医師臨床研修プログラム協力型施設である。また、東北大学をはじめ全国の大学や専門学校から、医師、薬剤師、看護師、リハビリテーションなどの医学系学生実習、医師、看護師などの医療職を目指す高校生などの体験学習も受入れている。

坂総合病院へは、東北大医学部から5年次地域医療実習8名を受け入れ、6年次高次医学修練として2名、5年次の産婦人科臨床修練の受け入れは13名である。他大学からは、個別計画実習43名を受け入、医学部合計受入数は82名である。また、東北医科薬科大学薬学部から1名、臨床検査技術科専攻臨地実習として6名を受け入れ、生化学、輸血、細菌、血液、一般検査、病理検査、心電図、肺機能検査、超音波検査などの実習を行っている。

長町病院は感染拡大により医師・医学生等の実習場所が制限されたが、医師養成の視点から可能な限り受け入れ、ワクチン接種状況を確認するなど、感染対策をとりながら東北大学医学部付属病院から地域医療研修(2年目研修医)1名、医学部5年次地域医療実習4名、1年次地域医療体験実習4名、高校生1日医師体験5名を受け入れ、新型コロナウイルス感染症が蔓延する前と同じ内容で実施している。

泉病院での受け入れは、協力型臨床研修病院として初期研修医7名、3年目医師研修医2名、1年次地域医療体験実習は6名である。

古川民主病院では、リハビリテーション科後期研修医を1名受け入れ、5ヶ月間地域プライマリア研修を行っている。歯科では歯科衛生士学科から2名実習を受け入れている。新型コロナの影響で病院歯科での実習を行わない学校もあり、受け入れ数は減少した。

部門別では、看護部門は新型コロナウイルス感染症が蔓延した7波と8波では病棟入退院制限のため実習受け入れを中止した。蔓延期後は、感染数の状況を見て午前の短時間での実習受け入れとした。実習受け入れ学校数は県内8校、受け入れ総数は280名である。また、高校生1日体験も同様の制限を行いながら、県内1校82名を受け入れている。

臨床栄養学実習の受け入れでは、県内4校から20名を受け入れている。坂総合病院では半日日程で、医師回診の同行やカンファランスの見学、栄養指導等幅広い実習が行われている。長町病院での受け入れは、新型コロナウイルス感染症の影響で中止とした。

リハビリテーション部門では、受け入れを制限しながら県内7校17名を受け入れている。

社会福祉士の受け入れでは、県内の1校から3名を長町病院と泉病院で受け入ている。坂総合病院は、新型コロナウイルス感染症への対応により受け入れていない。

訪問看護介護分野では、県内7校から216名を受け入れている。半日単位で2日間の短期実習とし、訪問同行は中止し事業所内での事例情報収集等の実習とした。

実習等受入学部(科) 受入数 受け入れ校数等
医学部 97名 東北大学医学部地域医療実習・高次医学修練等
薬学部 1名 東北医科薬科大臨床実務実習
看護学部 280名 8校
訪問看護・介護分野 216名 7校
臨床検査学科 6名 東北大学医学部保健学科検査技術科専攻実習
リハビリテーション 17名 7校
社会福祉士 3名 1校
管理栄養士 20名 4校
歯科衛生士 1名 1校
職業体験 受入数 受け入れ校数等
高校生医師一日体験 5名 1校
高校生看護師体験 47名 28校

講師活動では、坂総合病院の副院長は東北大学医学部臨床准教授、産婦人科と小児科診療部長は婦人科の東北大学医学部臨床教授である。他に医療技術系専門学校の講師を担っている。副薬局長は東北医科薬科大学薬学部の非常勤講師を担っている。

長町病院の院長は東北大学医学部臨床教授、医師による医療系専門学校・短大・大学などでの講義を担い、認知症看護認定看護師やリハスタッフ等がWebなどで地域や学校向けに講義を行っている。

泉病院の院長は、仙台市認知症地域医療支援事業企画会議構成員(仙台市地域包括ケア推進課)として仙台市の各種企画での講師をしている。

古川民主病の歯科医師は、東北大学歯学部臨床教授を担っている。

訪問看護介護分野では、1看護学校より要請を受け非常勤講師として在宅看護論の講義を行っている。また、喀痰吸引3号研修は18名に基礎実地研修を行っている。宮城県介護支援専門員・主任介護支援専門員研修講師、宮城県看護協会主催の訪問看護入門セミナーの講師、介護・福祉サービスネットワークみやぎ主催研修会の講師をしている。地域包括支援センターは地域住民や介護支援専門員研修等で講義を行っている。

5)訪問看護・介護、通所、在宅介護支援事業、障害者の医療・福祉事業

3事業所で定期巡回・随時対応型訪問介護看護を行っている。育児ヘルプサービスは1事業所で27件、4事業所がグループホームと施設契約を、6事業所が障害者福祉サービス契約を結んでいる。また、1事業所が定期巡回・随時対応型業務連携契約を結んでいる。

坂総合病院は七ヶ浜町の総合支援事業としてのリハビリ指導など、新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底しながら、11件の戸別訪問と20回の介護予防教室を開催している。多賀城市、塩釜市の総合支援事業も担当している。

長町病院が仙台市通所型短期集中予防サービスモデル事業「元気応援教室」を受託してから2年目となる。運動指導士、歯科衛生士、管理栄養士、言語聴覚士、保健師に加え、理学療法士や作業療法士などでチームを組み、従来の通所型の集団指導と訪問による個別指導を組み合わせ、地域に根ざした支援を行っている。延べ参加数は47名、運動指導39回、口腔・栄養改善指導は18回開催している。また、2022年は仙台市の介護予防研修会の講師を努めるなど仙台市と連携し地域住民の介護予防に取り組んでいる。

6)住民との協力による健康増進事業

坂総合病院は、塩釜市、多賀城市の災害公営住宅において健康相談会を27回開催し、職員含め349名が参加している。塩釜市浦戸諸島・桂島の桂島ステイ・ステーションには医師・看護師・臨床検査技師・健康運動指導士などの専門職を10名派遣し健康相談会を開催している。 健康相談会には12名の住人が訪れ、血圧、体脂肪率、血管年齢測定のほか、オンラインで医師による健康相談を行っている。また、地域住民主体の「くらしの保健室」が2022年7月に開設され、病院からも医師・看護師らが運営に携わっている。相談事例は、健康や病気のこと、家族のことなど様々であり、地域住民の困りごとに寄り添い支え合う活動となっている。

長町病院は、新型コロナウイルス感染症の感染防止のために大きな行事は開催せず、少人数での班会や講座を開催している。サークル活動は、感染対策を取りながら活動をしている。また、地域交流サロンでのお茶会など、生きがいづくりの活動も行っている。青空健康相談会は1回の開催である。ホームページやSNS等を活用しイベントの予定を発信している。2021年度から開始した「助け合いの会」の活動は利用者から大変喜ばれ、実施件数は前年度の60件から101件に増加した。ボランティアの参加者は延べ207名、「助け合いの会」活動は、お話し相手や電球の交換など多岐にわたっている。

泉病院では、コロナ禍に伴い例年に代わる企画として8月に仙台市天文台との共催による移動天文台ベガ号による天体観望会(参加者: 親子11組30名)と11月に健康イベント(参加者57名)を開催している。オンライン健康講演会は10講演、延べ100名の参加となっている。根白石地域包括支援センターから医師の講演依頼を受け「医療と介護の地域のはなし」と題して講演を行っている。また、2022年度から新たに始めた地域での健康増進活動は以下の通りである。

地域ごとでの介護予防講座(友の会事務局&班会共催)
南光台と長命ヶ丘の2ヶ所で開催
延べ参加者数は34名
保健活動委員会主催によるウォーキング(3月開催)
23名が参加
体験型イベント
開催数は60回、延べ参加者数は409名
芸術・作品づくり、運動、芸術・自然鑑賞、生涯学習、日常の暮らしに活かすことを中心とした取組み(介護・福祉用具説明・相談会など)に加え、参加者の健康意識づけとして「いつでも元気」を活用したワンポイント学習会、血中酸素測定などの健康チェックを取り入れるなど、柔軟かつ総合的な健康増進活動となっている。

古川民主病院は、これまで健康啓蒙活動として3地域(大崎市古川、加美町、美里町)で健康まつりを開催してきたが全て中止している。地域住民への健康講話会は感染マニュアルを作成し、感染拡大に注意しながら開催し「認知症の正しい理解と予防」や「振り込め詐欺について」などの内容で8回開催している。

くりこまクリニックは健康まつりと班会は中止している。ゲートボール大会を7月に開催し35名参加、パークゴルフ大会は10月に開催し37名が参加している。

仙台錦町診療所産業医学健診センターは、コロナ禍により健康まつりや健康講話は中止している。感染対策を徹底しながら少人数ながらも「お楽しみ会」を再開している。「絵手紙」サークルは継続して活動している。

若林クリニックは、施設内の一室を「ゆったりサロン」として環境整備し、地域住民の主体的な参加による健康増進活動に取り組んでいる。いきいき教室、ヨガ教室、ノルディックウォーキング等、18分野の地域サークルがある。新型コロナウイルス感染症の感染状況により中止しているサークルもあるが、スペースの広い市民センターなどへ場所を移動し開催している。健康まつりは中止し、規模を縮小し「健康と平和のフェスティバル」と題したイベントを行っている。

歯科事業部では、古川民主病院歯科クリニックの歯科医師が地域で開催された健康講話会で、長町病院附属歯科クリニックの歯科衛生士が災害公営住宅での健康講話会で講演を行っている。

7)総合的な社会保障確立のために

地域住民の健康権を守るため、4病院と地域包括支援センターで社会福祉士等による医療生活相談援助に取り組んでいる。

坂総合病院の医療圏内では、身寄りのない患者や家族・親族からの協力が得られない患者の有事の対応や今後の生活について福祉事務所等と連携しながら支援を行っている。高齢者に限らず、40代・50代の年齢層が増えている点が特徴である。新型コロナウイルス感染症に罹患した入院患者の中にも同様の社会背景を抱えているケースもある。疾患の特徴として急変が考えられるため、早期に本人からの治療に対する意向確認が必要となる。社会的背景を理由にした不利益な選択とならないよう、多職種によるカンファレンスや本人を交えた話し合いの場では権利擁護や倫理的視点からも意思決定支援をサポートしている。また、開業医や地域包括支援センター、自立支援相談窓口、子育て支援センターなど多方面からの相談があり、状況が深刻になる前に連携が図れることも多い。医療の提供だけでなく、SDH(健康の社会的決定要因)の視点で患者を支えることができる総合病院としての役割は大きい。

長町病院は、身元引受人不在の患者支援が非常に多い。退院調整目的やリハビリ目的においても他医療機関から相談が多く寄せられているが、受け入れ制限をすること無く切れ目の無い医療を展開している。このようなケースは、公的サービスや行政では賄えない部分の支援など、医療機関や行政等の関係機関と連携して対処できる体制作りが課題である。また、若年の中途障害者の患者も増えており、療養先探しや社会復帰に向けた支援を行っている。社会資源が限られ、療養先探しに難渋しているが関係機関と共に課題を整理しながら支援を行っている。

古川民主病院の医療圏は農村部ということもあり比較的地縁血縁が保たれている地域といわれるが、身元引受人不在で社会的に孤立している患者は確実に増えている。そのような事例では、特に退院先探しが困難となるため行政や地域包括支援センター等の協力を得て支援にあたっている。なお、医療機関に任される部分は多く、地域全体で支援に取り組める基盤整備が課題となっている。他医療機関、地域包括支援センター、行政、自立相談支援窓口などから複雑な社会背景を抱える患者について相談が多く、院内多職種や他機関と連携し支援にあたっている。

泉病院では社会的背景のある患者の入院を受け入れてきた。身元引受人の不在、経済的問題、家族関係に問題のある患者など、支援が難渋することが予測される患者についての紹介が増えている。どのような患者でも必要な医療を受けることができるよう、関係職種、関係機関と連携しながら支援を行っている。また、認知症のため緊急の支援を要す患者の相談が地域から多数寄せられている。介護保険の申請や施設入所までの支援など、行政や地域包括支援センターと連携しながら求められる役割を果たしている。新型コロナウイルス感染症、物価高騰など、格差と貧困が広がる中で経済的支援が必要となる患者の実態について仙台市とも懇談を行っている。

介護事業では、在宅居住者の介護の悩み困りごとの相談窓口になり、多職種で情報を共有しながら他機関とも連携し、支援が必要な方への介護サービスの調整を行っている。また、地域で『介護の話』をテーマに講演活動を行っている。

南光台地域包括支援センターは、地域住民から認知機能低下後の権利擁護に係るもの、精神疾患関連、安否確認、虐待相談と多岐にわたっている。行政や地域住民等と連携し対応している。

社会福祉士等による相談件数( 延べ: 件 )
  相談件数
法人合計 33,986
坂総合病院 11,926
長町病院 12,871
古川民主病院 2,485
泉病院 5,232
他事業所 1,472

以上