ヘルニアとは?

ヘルニアの病態

鼠径(そけい)ヘルニアは子供の病気と思われがちですが、むしろ成人に多く、 手術以外に根治的な治療方法がありません。 痛みも少なく短期入院で済む新しい手術方法が普及してきており、 生活の質を考慮すれば、積極的に治療した方が良い病気です。 「鼠径」とは、太ももの付け根の部分のことをいい、 「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。 「鼠径ヘルニア」とは、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、 多くの場合、鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。 一般の方には「脱腸」と呼ばれている病気です。

鼠径(そけい)ヘルニアとは

一般に「脱腸」と呼ばれる良性の病気です。小児と成人では原因が違い、治療法も異なります。 小児の鼠径ヘルニアは自然に治るケースもありますが、 成人鼠径ヘルニアは加齢とともに下腹部から足の付け根(鼠径部)の組織が脆弱になり、 その部分からお腹の中にある腹膜が袋状に飛び出し、 その袋の中を通って腸管などが皮下に飛び出してくることによっておこります。

ヘルニアの症状

タイヤの弱くなった部分から内部のチューブが突き出ているのに似ています。 初期のころは、立った時とか、お腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜や腸の一部などが出てきて柔らかい腫瘤ができますが、 普通は指で押さえると引っ込みます。 鼠径部に何か出てくる感じがあり、それがお腹の中から腸が脱出してくるので「脱腸」と呼ばれています。 次第に小腸などの臓器が出てくるので不快感や痛みを伴ってきます。時にはれが急に硬くなったり、 押さえても引っ込まなくなることがあり、お腹が痛くなったり吐いたりします。 これをヘルニアの嵌頓(カントン)といい、急いで手術をしなければ、命にかかわることになります。