ノロウイルスにご注意を

2016.02.04

感染性胃腸炎、食中毒を引きおこすことで有名な「ノロウイルス」。ノロウイルス感染は一年中発生していますが、特に冬季に流行します。11月頃から増加し12月・1月にピークを迎え、3月頃までは発生が多い傾向にあります。

感染経路

基本的にウイルスが口から体内に入って感染します。少量でも感染が起こるのが厄介なところです。

食品からの感染

ノロウイルスというと生ガキからの感染を思い浮かべる人も多いと思います。ウイルスに汚染された二枚貝を生、または加熱不十分で食べると感染が起こってしまうのですが、実際はカキだけでなくシジミ、アサリなども汚染されている場合があります。しかしそれらは味噌汁やお吸い物としてしっかり加熱されていることが多く、あまり感染源になりません。カキは生での摂取が多いので問題になります。
また、ノロウイルス感染者が調理をする際、手指などを介して食品を汚染してしまうと、それを食べた人も感染してしまいます。

感染者の便・吐物からの感染

感染者の便や吐物に触れた手にウイルスが付着し、その手を介して口からウイルスが侵入します。ウイルスの付着した手で触った環境(ドアノブ・手すりなど)も汚染されるので、そこに触った人の手に付着して感染は拡大していきます。
直接触れた覚えがなくても、嘔吐時に飛び散った飛沫を浴びていることもあります。また、床に残った吐物が乾燥し、空中に舞いあがったものが口から入る場合もあります。

症状

感染してから24~48時間で発症し、嘔吐・下痢・腹痛などが起こります。一般的に症状は1日~数日続いた後、自然治癒していきます。感染しても症状がない場合や、軽い風邪のような症状だけのこともあります。また、症状がなくなってからも通常で1週間程度(長いと1カ月ということも)便にウイルスは排出され続けています。

診断

当院では、診断の補助として必要だと医師が判断した場合「ノロウイルス抗原検査」が実施されます。患者さんの便の中のノロウイルスを検出する検査で、通常30分以内には結果が判明します。(重症化のリスクが高い「3歳未満・65歳以上・特定の疾患をもつ人」のみに保険適応があります)
ただし、あくまで簡易的な迅速検査であり、感染していても分からない場合もあります。(より確実な検査方法も存在しますが、通常の医療機関では実施できません)
患者さんの症状・問診・検査結果・周囲の人の感染状況などから、医師が総合的に診断することになります。

治療

残念ながら、特効薬はありません。水分や栄養を補給して、体力の消耗を防ぎましょう。とはいえ嘔吐や吐き気でそれがままならない場合や、もともと体力のない乳幼児や高齢者などは脱水を起こしやすくなってしまいます。脱水症状がひどいときは、病院で輸液などの治療が必要になります。
なお、下痢止めを使うとウイルスが体の外に排出されず、回復が遅れるおそれがあります。

予防

ノロウイルスは、その感染力の強さから、家庭で1人感染すれば家族へも容易に拡大します。

調理

二枚貝は、ノロウイルスに汚染されていたとしても充分に加熱すれば食べても問題ありません。調理の際は85~90℃で90秒以上加熱するのが望ましいとされています。

手洗い

一般的なアルコール消毒はノロウイルスに対してあまり効き目がありません。石けんと流水による手洗いで、手に付いたウイルスを物理的に洗い流すのが最も効果的です。食事前、調理前、トイレ後、吐物や下痢便(オムツ等)の処理後にはしっかり手洗いしましょう。

清掃

吐物の処理時には使い捨てエプロン、マスク、手袋を着用し、拭き取ったものや着用していた手袋等はビニール袋に密封します。
拭き取り後の床は次亜塩素酸ナトリウムで消毒後、水拭きします。(次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用塩素系漂白剤で代用できます)

手洗い、清掃、消毒の仕方など、厚生労働省ホームページにて文書や動画で詳しく確認することができます。